「アジアの未来」
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日本経済研究センター特別顧問、竹中平蔵氏の講演の感想
李承勲(イ・スンフン) 早稲田大学
 World Economic ForumによるGlobal Competitiveness Report2007-2008年の調査結果で日本は調査対象131カ国・地域の中で、世界第8位にランクされた。その他に、アジアの中で高い水準にランクされている国・地域は、シンガポール第7位、韓国11位、香港SAR12位、台湾14位、マレーシア21位で、国際競争力というファクターで測られた数値からも、近年、アジアの諸国の目覚しい発展と成果が強く感じられる。

 そして、この調査結果を国・地域ごとのファクターで分析した結果を見ると、日本が現在直面している課題、そして国際競争力をさらに増さなければならない分野などがよく指摘されていると思う。その中で、もっとも大きな問題として指摘されているのは、税金の規制や高い税率、官僚主義的政府の対応、制限された労働環境の柔軟性などだ。

 このような国際競争力を算定し、それを改善していくことに興味を持っていた私は、今回、アジアの未来の中で行われた竹中平蔵氏の講演を聞き、とても印象的だった。というのは、竹中氏が演説した講演の中で披露された改革に対して必然性、そしてその改革のビジョンに対して、とても共感することが出来たからだ。

 その講演の中で主張されたこれからの日本のビジョンというものは、アジアの中の国に積極的に投資を行い、健全な競争を通じてアジアをリードしていくというものだ。その具体的な対策としては、羽田空港を2倍に拡大させ、アジアの金融のハブとして東京の地位を高めていくこと、法人税を緩和させる、あるいは法人税を廃止したスーパー特区の設立を通して海外からの投資を呼び込むことができる魅力的投資環境の構築、投資誘致庁を設置させ、日本の投資環境をより良く高めていくことの必要性、そして世界的な教育水準確立の必要性から東京大学の民営化などが述べられた。

 私は、今回の講演の中で提唱されたビジョンに共感しただけでなく、むしろ竹中氏が主張した「日本の改革の必然性とその現状認識の切実さ」というものに大変共感できた。なぜなら私の問題意識の背景として、先ほど取り上げたWEFのReportの中で、特に国として競争力を高めていく上で改善しなければならない問題、言い換えれば国際的に競争力が落ちているならば、それ現状を冷静に評価し、徹底的な分析を行い、改革していかなければ国際競争力は維持できないからと考えていたからだ。

 今回の調査で日本の結果を見てみると、例えばBusiness sophisticationやInnovationのファクターからは世界2位という評価を得ている反面、Financial Market Sophisticationのファクターでは36位、Higher Education and Trainingのファクターでは22位という、まだまだ改革していく必要性が強く感じられる分野も山積していることがわかる。

 これらの問題は、竹中氏の主張に含まれているような対策、言わば、国レベルのプロジェクトとして大きな施設拡大や特区設置などを通じて日本の投資環境、あるいは金融分野において国際競争力を高めていくことが必要であるという内容で、現状を冷静に分析した後に、出された極めて洞察力のある見方だと思います。

 そして、教育分野に置いても、竹中氏が主張した基本的な視点に共感しながら、特にグローバルスタンダードというものが教育の分野においても急速に進んでいることに対する認識の上で、自分なりに考えている問題解決のための小さな提言をし、レポートを終えたいと思う。 

 国際的に高い教育水準を維持していくことは、日本の将来的な国家競争力を考えるにあたって、もっとも重要なファクターであると思う。ここで競争力強化の鍵となるものは、先ほど指摘したグローバルスタンダードというものを教育の分野において、日本が如何に発展させ、高めていくことができるかに関わっている。その提言として、最後に、冒頭に取り上げたようなアジアの国々の教育政策や環境を綿密に分析し、日本の競争力を高めていく上で参考になるものは、徹底的に分析し、積極的に取り入れていく必要があるのではないかということだ。

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