第8回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)は22日午後、アジア諸国と中国との関係や、中国の消費・金融市場に関する講演や討論会を開いた。シンガポールのリー・クアンユー上級相は総括討論で中国の将来に関して「成長に向け国内は団結しており、不安定化はないだろう」と述べ、一部にある社会混乱への懸念を否定した。会議は同日夕、2日間の日程を終えて閉幕した。
リー上級相はテレビ会議システムを利用してシンガポールから参加した。13億人の人口を抱えながらも中国は「各層で世界に追いつこうとの意欲が強い」と述べた。
日本との関係については「今後15-20年間、中国は巨大市場と生産基地を持つパートナーだが、20−30年後の第2段階は生産技術を身につけ競争相手になる」と予測。日本は競争に備え「先端技術を磨くとともに、起業家の育成が不可欠」と強調した。
講演後の分科会では「消費市場としての中国」をテーマに討議。コカ・コーラ・カンパニーのパトリック・T・シーワート東・南アジアグループ社長が地元消費者の生活やし好に密着したマーケティングの実例を紹介した。
もう一つの分科会は「5年後の人民元と中国の資本市場」が議題。クレディ・スイス・ファースト・ボストン・アジア担当チーフ・エコノミストの陶冬氏は、証券市場が「10年後には時価発行総額2兆−3兆ドルと世界でも第二位の規模となる」と予測した。
中国の王建・国家発展計画委員会中国マクロ経済学会常務副秘書長は輸出入管理の観点から「現在の人民元の変動幅を維持すべきだ」と発言。資本市場の開放も時期尚早との見方を示した。
[5月23日/日本経済新聞]