「アジアの未来」
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対談

 泉宣道・日本経済新聞社論説副委員長(モデレーター) 景気後退や環境問題など、グローバルな課題を克服する上でアジアに何ができるかが問われている。

ユスフ・アンワル氏

 ユスフ・アンワル氏 アジア太平洋地域の国々が結びつきを強めることが重要だ。自然災害や貧困など課題は山積しているが、アジアは世界経済の中心になる。国際的な有力企業も多い。例えば、中国とインドは互いにIT(情報技術)や製造分野で投資しあうなど、補完関係を築きつつある。最近の日本は急速に伸びる中印に比べて、成長が少し遅れている。アジアの多くの国は日本の投資を受けて発展した。日本は今後もアジアのリーダーであり続けるための取り組みが必要で、それが日本の役割でもある。

 泉氏 中国が台頭する中、世界経済での日本の役割はどうなる。

中川秀直氏

 中川秀直氏 日本は大変な人口減少社会に入っている。今後もこの状態が続くのは間違いない。もう一度、成長戦略を見直すべき時期だ。日本の役割はアジアと世界をつなぐゲートウェイとなり、さらにオープンな経済社会を築くこと。英語が話せる人材の増加や航路拡充が必要だ。例えば、羽田空港からアジア各国や世界の主要都市に直接行けるようにすればよい。農産物の対中輸出が増えるなど、日本の農業で改革・再生につながる大きな流れが生まれようとしている。日本は歴史的な改革の時期を迎えているのではないか。

 アンワル氏 多くの専門家が、中印と米国の存在感が世界経済で高まる一方で日本の役割が縮小するとみている。日本企業は技術分野で競争優位性を維持し、世界の研究活動の中心になるべきだ。それは可能だと思う。日本企業は既に多くの資金を研究開発に投資しており、中印などは簡単には追いつけないだろう。ただ、日本も努力が必要だ。日本は明治維新など歴史的にみても開放政策で外から様々な要素を取り込み、成長してきた。自ら変わる時期が再び来たのではないか。

 泉氏 アジアは中印の台頭にどう向き合うべきか。

 中川氏 中印が豊かになることは歓迎すべきだ。中国は日本と協力し、改革しながら成長して対等な関係になった。中国は今後20年ほどをかけて、かなり大きな民主化の方向に向かうと思う。日中・ASEAN、インドは上げ潮の時代に入っているといえる。日中印は利害が共通する戦略的互恵関係にある重要プレーヤーだ。何かあればお互いすぐに人道支援のため駆けつけるなど、自然災害対策で協力することも重要になる。

[5月24日/日本経済新聞]

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