太田泰彦・日本経済新聞社論説委員(モデレーター) 日本・ASEAN関係の文脈でベトナムの位置付けは。
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甘利明氏 |
甘利明氏 日本とASEANはウィンウィンの関係にある。ASEANの環境・エネルギー問題の解決、域内格差の是正に日本は貢献できる。成長センターであるASEANに日本が関与すれば日本経済も引き上げられる。
ベトナムには成長のポテンシャルがある。ベトナム国民の勤勉性は、戦後にゼロから成長した時の日本(人の勤勉性)と極めて近い。ベトナムはやがてASEANのリーダーの一国になる。
ブー・フイ・ホアン氏 ベトナムの近年の経済成長率は8%台と高水準で、貧困世帯の割合も14%まで減ってきた。ベトナムに進出している日本企業の数は約1000社、投資総額は90億ドルに上る。
日本企業にとって拡大するベトナム消費市場は魅力的だ。我が国はアジア物流網の中継点にある点でも優位性を持つ。日本は重要なパートナーだ。(交渉中の)経済連携協定(EPA)が締結されれば、両国の経済関係はさらに拡大する。
甘利氏 ベトナムの労働者は自ら工夫し生産ラインを改善している。創造性と協調性がものづくりには重要だ。
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ブー・フイ・ホアン氏 |
ホアン氏 ASEAN諸国はライバル関係にあるともいわれるが、貧困を削減し、緊密な関係を築くという共通目標を有す。(インドシナ半島を横断する)東西回廊などのインフラ計画にも共同で取り組んでいる。
甘利氏 日越EPAは質の高いものにしたい。日本とマレーシアのEPA締結後、日本企業の対マレーシア投資は6倍に増えた。EPAは魔法のつえだ。
ホアン氏 我々は(日越EPAの)年内基本合意を楽観視している。
甘利氏 日本の省エネ技術は世界に冠たるものだ。最近ベトナムへの原子力開発支援で合意した。電力不足の解消と平和利用に貢献できる。
[5月23日/日本経済新聞]