「アジアの未来」
HOME

フロントページ
速報
22日の概要
23日の概要
会議日程
講師略歴
アジアの未来
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
日経アジア賞
English
22日の概要
対談
統合、東アジアから開始を


対談する小倉和夫国際交流基金理事長(左)とマハティール・マレーシア前首相
 小倉和夫氏 アジア共同体の構築では様々な枠組みが考えられる。

 マハティール・ビン・モハマド氏 統合の具体策として貿易決済に使うアジア共通通貨の導入を提案する。平和の維持も大事で、この分野では政治的な意志が欠けている。比較的発展の度合いが近い東アジアから統合を始めるべきだろう。

 小倉氏 アジアには経済協力開発機構(OECD)のような経済政策を協議する場が求められている。そこで共通通貨の議論などをすればよい。

 マハティール氏 正式な協議体をつくって通貨の問題を話し合うべきだ。米ドルは変動リスクがあり、もはや安定通貨ではない。域内各国の通貨を残しつつ、貿易用の共通通貨を導入すべきだ。まず日韓や東南アジアで導入することが可能ではないだろうか。

 小倉氏 欧州連合(EU)はユーロ導入で通貨リスクがなくなった結果、域内の投資が増えた。アジアでも共通通貨を導入すれば投資が増えるだろう。統合に向けた域内の意識も高まらないといけない。「自分をアジア人と思うか」との問いに、肯定した中国人は6%で、日韓やASEANの40―60%と比べ低いという調査結果もある。

 マハティール氏 中国人はアジアのことをよく知らず、教育が必要だろう。過去にこだわり、日中韓がいがみあっても利益にはならない。

 小倉氏 東アジアと東南アジアが参加する東アジア経済協議体(EAEC)などの構想が出た1990年前後は、米国に配慮して多くの人が反対した。アジアでの米国の役割についてどう考えているか。

 マハティール氏 日本が米国に恩を感じるのは理解できるが、真の友人なら間違いがあれば指摘すべきだ。米国は対立する国を軍事力で負かしてイデオロギーを押しつける傾向があるが時代遅れだ。政府が倒されても国民はテロなどで抵抗を続ける時代になっている。

[5月23日/日本経済新聞]

一覧へ戻る >>

Copyright 2008 Nihon Keizai Shimbun, Inc., all rights reserved.