「アジアの未来」
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対談

 小倉和夫氏 アジアが持続的に成長するためには、日本のような輸出主導型から、内需主導型に転換することが重要だとの意見が多い。

リー氏

 リー・クアンユー氏 米国の消費に依存する輸出主導型経済を維持するのは難しく、長期的にはアジア諸国も内需主導型になっていくだろう。ただ、世界経済の成長にはグローバル化が最善で、保護主義による地域のブロック化は望ましい姿ではない。

 小倉氏 自由貿易を尊重し、保護主義に反対することは重要だ。

 アジアの経済成長を考えるうえで格差問題に触れたい。アジアでは国家内で、または国家間で大きな経済格差がある。格差を是正することが各国の社会を安定させ、経済成長につながる。

 リー氏 各国には主権があり、他国の干渉を嫌う国も多い。基本的には格差問題は各国政府が解決すべきだ。仮にシンガポールと周辺国の格差問題を解決せよと私に言われても、あきらめざるをえない。

小倉 和夫氏

 小倉氏 例えば中国では地域間や農工間で大きな格差がある。こうした格差は中国政府が解決すべきだが、この問題を解決しないと中国の社会は不安定になる。中国は自国の将来について、どのようなビジョンを持っているのだろうか。

 リー氏 中国は経済的に繁栄し、医療サービスなども充実した近代国家になろうとしている。(経済的に発展している)沿岸部では30年以内にこうした目標の達成は可能だろうが、内陸部を含めて考えると40年程度かかるだろう。格差を100%解消することは難しいが、国民に自由な移動を保証することで、ある程度は解消する。だが中国では国民の移動が制限されている。こうした制限をなくすことが重要だ。

 小倉氏 日本では結婚を望まない若者が増えている。(人口問題などで)何か助言を。

 リー氏 シンガポールでも晩婚化が進み、出生率が低下している。しかし、シンガポールは移民を受け入れることで高い成長を実現してきた。現在ではウクライナなど東欧からも移民を受け入れている。日本は介護分野でインドネシア人らを受け入れ始めたが、これだけでは(労働人口の減少などの)問題解決にはつながらないだろう。

[5月23日/日本経済新聞]

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