都内のホテルで開いた第15回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)は22日、2日間の日程を終了し閉幕した。プログラムで最後のテーマとなったパネル討論「米オバマ政権と東アジア外交・安保の新局面」では、日米中韓の識者からオバマ政権が安全保障や経済運営で厳しい状況下で発足したことに理解を示す声が相次いだ。他方、北朝鮮の核問題については日米中韓が協力して打開すべきだという見方で一致した。
ウィリアム・ペリー元米国防長官は「6カ国協議は失敗した」と明言、オバマ政権は北朝鮮に対し「インセンティブとプレッシャー(アメとムチ)の両方を与え核放棄を迫る必要がある」との見解を示した。インセンティブの具体的な内容には言及しなかったが、国際原子力機関(IAEA)を含めて「国際的な協力、特に中国の協力が必要だ」と語った。
元韓国統一省次官の金錫友氏は「北朝鮮は(経済運営が難航し)核開発で政権存続を図ろうとしている」と指摘。中国から送還された脱北者が「北朝鮮で人権を無視したひどい扱いを受けている」ことにも触れ、中国の送還策に再検討を促した。
東洋学園大学教授でNPO中日学術交流センター代表理事の朱建榮氏は、米国と中国が2大大国となり「G2体制」が築かれるとの意見に対し、「中国には米国と対等な水準で国際問題に対応する実力はない」との見方を提示した。中国はこれまでの経済発展を経て「社会の民主主義化を図る段階に入っている」との考えを示した。
谷内正太郎前外務次官は「ブッシュ前政権が残した外交面での単独行動主義、過剰な関与、アジア政策の不在」などの課題の克服がオバマ政権に求められているとした。