「アジアの未来」
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21日の概要

経済危機克服へ連携

 内需主導の成長モデルへの転換を――。21日に開幕した第15回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント特別協賛)では、金融危機の影響を受けるアジア経済の回復へ突っ込んだ議論を展開した。環境問題や感染症など地球規模の課題を巡る各国の連携の加速を求める声も相次ぎ、域内の連携が様々な危機克服の原動力となっているアジアの姿を印象づけた。会期は22日まで。

世界に開いた協力必要──首相演説の要旨

晩さん会で演説する麻生首相(21日午後、東京都千代田区)

 「100年に一度」の経済・金融危機のさなかだが、私のアジアへの楽観的な見方は依然変わりない。

 直面する経済・金融危機を乗り越えるためには各国が内需拡大に足並みをそろえることが今極めて大切だ。重要なのはアジア域内の貿易・資本取引を一層促進すること。域内協力は世界に「開かれた地域協力」であることが必要だ。1929年の世界恐慌に学び、保護主義に断固対抗する。

 アジアの成長力を中長期的視点から強化し、潜在力を引き出す政策が必要だ。アジアの経済規模を2020年に現在より倍増することを目指した「成長構想」を発表した。広域開発や消費拡大を促し、輸出主導型だったアジア経済を内需主導型に変革させるものだ。

 広域インフラの整備など、官民の連携を視野に入れたアジア総合開発計画が必要。アジアの中間層が安心して消費拡大できるよう社会保障制度なども整備すべきだ。日本は政府開発援助(ODA)最大200億ドル相当などを用意し、あらゆる施策を動員して、各国の取り組みを後押しする。

 メコン地域の開発を議論するため、カンボジア、タイ、ベトナム、ミャンマー、ラオスの首脳を日本に招き、初の「日メコン首脳会議」を年内に開催し、協力を加速させる。東シベリア・極東開発に力を入れるロシアも重要なパートナーになりうる。北方領土問題という日ロ間の障害を取り除くため全力を尽くす。

 アジアが持続的に成長を続けるためには保健衛生、環境分野など国境を越える問題、地域の安全保障問題に協力して対処する必要がある。新型インフルエンザ対策では150万人分の抗ウイルス薬などの備蓄支援を進める。北朝鮮は核・ミサイル開発を進め、拉致問題の解決に取り組む姿勢も見せていない。6カ国協議の早期再開に向け冷静に関係国と連携する。

 「経済的繁栄と民主主義を希求する先に、平和と人々の幸福がある」が政治的な信念だ。日本が戦後約60年、平和国家として歩んだ道でもある。個々人に選択の自由を提供し、社会の安定と繁栄を一層強固にする。同じ道を歩み、努力する友人を日本は応援していく。アジアがまず元気を取り戻し、そして世界に広げたい。


[5月22日/日本経済新聞]



基調講演
 
「域内貿易、成長けん引」
グエン・タン・ズン ベトナム 首相
 
パネル討論 ▼「アジア経済の持久力を探る 〜世界経済危機のなかで」
 
◆パネリスト:
「インフラ整備重要」
サラ・クリフ
 世界銀行 東アジア・大洋州地域 戦略・業務担当局長
「外需依存、脱却望む」
武藤 敏郎 前日本銀行 副総裁、大和総研 理事長
「ドル基軸見直しを」
夏 斌 中国国務院発展研究センター 金融研究所長
「金融自由化、慎重に」
シャンカール・アチャリア インド国際経済関係研究所(ICRIER) 理事兼名誉教授
◆モデレーター:
小島 明 日本経済研究センター 特別顧問
 
基調講演
 
「投資誘致へ法整備推進」
ブアソン・ブパワン ラオス首相
 
 
対談
 
「内需主導に転換を」
マハティール・ビン・モハマド
 マレーシア元首相
「米の関与、経済で促せ」
野上 義二 日本国際問題研究所 理事長

 
パネル討論 ▼「環境ビジネスの潜在力」
 
◆パネリスト:
「国境越え技術共有」
松村 幾敏 新日本石油 代表取締役 副社長
「太陽電池が主流に」
廖国栄 c晶能源科技(ジンテック) 総経理(台湾)
「エコ都市の開発を」
コー・ケン・ホア ケッペル・コーポレーション
持続的発展と生活ビジネス部門 最高経営責任者(シンガポール)

◆モデレーター:
後藤 康浩 日本経済新聞社 編集局アジア部長
 

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