「アジアの未来」
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パネル討論
▼「東アジア産業大動脈の可能性−物流インフラ整備の意義」

 木村福成氏(モデレーター) 東アジアは短期的には金融危機をいかに乗り越えるかという課題に直面しているが、中長期的な経済成長の基盤をどう強化するかということを考えるよい機会でもある。アジアの強みは工程間の国際分業が発達した生産ネットワークだ。課題はイノベーションの促進。物流インフラ整備による経済的距離の短縮や、民間を含めた投資資金の有効な投入が重要になっている。

石毛 博行氏

 石毛博行氏 広域インフラ整備や産業開発、制度改善を一体的に進める「東アジア産業大動脈構想」によって、周辺地域は飛躍的な発展が期待できる。日本とインドはすでにデリー―ムンバイ間の1500キロを高速貨物鉄道で結ぶ大動脈構想を推進している。周辺には港湾や道路などを整備する計画だ。

 メコン・インド産業大動脈構想もある。ベトナムのホーチミンからカンボジアを経て、タイから海を越えてインドのチェンナイに至るルートを整備し、周辺に工業団地などを建設すれば継ぎ目のない生産ネットワークができる。カギは民間貯蓄をインフラ整備へと振り向ける仕組みづくりだ。

セット氏

 アフターブ・セット氏 インドは東南アジア諸国連合(ASEAN)との自由貿易協定(FTA)に年内に調印する可能性がある。

 インドはインフラ整備では中国に比べて後れをとっている。インドの主要四大都市をみても、北京や上海と比べオフィスなどが不足している。日本企業にはビジネスの大きなチャンスがある。


ズン氏

 ホー・ギア・ズン氏 東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)が提唱する大動脈構想に賛成だ。各経済地域を結ぶ交通インフラの整備は非常に重要。ベトナム国内にはいくつかの経済回廊があるが、今後は物流サービスの質の向上が重要になる。周辺各国と連携し、国際分業のなかでベトナムの産業を育成していく。




中村 次郎氏

 中村次郎氏 世界主要港のコンテナ取扱量をみると上位3港はアジアの港だ。世界の物流の60%以上が東アジア経済圏の中で行われている。

 インドへの陸上輸送はルートが細く、難しい面も多い。しかし例えば日本から輸送する場合、シンガポールまで船便で運び、シンガポールで航空便に載せ替え、インド内陸まで運ぶというのはどうか。いずれにせよ回廊の実現にはハードとソフトの両面で課題が残っている。

田原 哲郎氏

 田原哲郎氏 中国―ベトナム間の輸送は従来は海上輸送が中心だったが、このほど新たにハノイから広州に陸送するルートができた。東アジア全域を視野に入れたサプライチェーンと国際分業体制の構築が期待される。ただインフラ整備だけでは不十分。統一ルールの策定などによる環境整備が重要だ。国境などで荷物を積み替える手間をなくしたり、輸出入手続きをワンストップでできるようにする仕組みなどは効果的だ。


[5月23日/日本経済新聞]

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