投資誘致へ法整備推進
過去1年間、世界では社会や政治など多方面で重大な出来事が発生し、各国経済や生活基盤に深刻な影響を及ぼした。歴史的な原油価格の高騰、自然災害、感染症なども生じた。これらは広域的な問題で一国では解決できない。各国が協力し立ち向かうことが重要だ。
各国の経済・金融システムの統合が進んでいるため、ある国で金融危機が起きると数日で世界共通の危機に変わる。例えば世界経済をけん引する国で問題が起きると、瞬く間に世界各国に連鎖的な衝撃が広がる。
ラオスも影響を免れない。今年1―3月は鉱物資源や縫製品の輸出が低迷し、財政収入が減少する要因となった。多くの国に比べると影響は深刻ではないが、ラオスの経済基盤はまだ盤石ではない。2009年の経済成長率は6―7%にとどまると推測される。
この試練に立ち向かい問題を解決するため、ラオス政府は生産活動を支援し、財政収入の減少を補う新たな収入源を開拓する。さらに、国民生活への打撃の緩和に特別な注意を払い、行政のあり方や運営・管理の規則なども改善する。
試練に立ち向かうことは自分を向上させるよい機会だ。行政や民間の運営改善にもつながる。2020年までにラオスが後発途上国から脱却して持続的に発展する国家に転換するため、成長と貧困問題解決の戦略策定に取り組む。
ラオスは工業化への転換を支える条件となりうる天然資源が豊富だ。農耕地を広げるなどして食料の安定供給も確保する。地球温暖化の解決に取り組む各国とともに森林面積を拡大する。
ラオスはこれまで内陸を意味する「ランド・ロック」と呼ばれてきたが、その言葉は過去のものになったと主張したい。東西と南北の経済回廊の整備が進んだことで、ラオスはメコン流域や東南アジア地域における「ランド・リンク」国となった。ロジスティクスに関心がある投資家にはビジネスチャンスの宝庫だ。
工業化を進めて持続可能な発展を可能にするために、ラオスは資金や高度な技術を必要としている。政府は海外からの直接投資を誘致するため、よりよい投資環境をつくらなければならない。投資促進法を国内外の投資家に平等になるよう改正するため、6月に国会で審議する。日本などの民間企業との定期的な対話も重要だ。
ラオスは経済成長と社会開発、環境保全を両立できるよう取り組む。そのためにも先進国からのさらなる技術と資金の支援を期待する。