「アジアの未来」
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日経アジア賞
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25日の概要
中川 秀直
衆議院議員、自由民主党 幹事長

 日中、アジアの責任共有

 アジア全域の福祉増進に貢献することは日本の使命だ。日本自身がオープンでイノベーション(革新性)に富んだ国でなければならない。

 そのための構想が「アジア・オープンスカイ構想」だ。近代日本は常に東京が窓口となって世界と接していたが、今後は地方空港を窓口として直接、世界と接触することになる。沖縄で米国から返還される基地跡地は、アジア・ゲートウェイの新たな公共インフラとなることも大いに期待される。

 金融分野も欠かすことはできない。私の個人的な考えだが、沖縄を道州制の州とし、一国二制度であっても金融特区を進化させ、アジアで一、二を争うオープンな国際金融センターになることを目指せば、同時にアジアに公共財を提供することも意味する。

 他国の繁栄なくして一国経済の発展はない。自由で公正なルールに基づくアジア経済圏の拡大に向け、中国、インド、オーストラリアを含む東アジア16カ国による包括的経済連携協定(EPA)を推進しなければならない。これは日本の農家にとっても、アジアの富裕層向けのマーケットを拡大するチャンスであると、粘り強く説得していかなければならない。

 国内改革につなげるという観点から、多国間の取り組みを重視していくべきだ。たとえば、日本とASEANとのEPAを早期に妥結するため、ASEANの努力を支援する基金を創設することも考えられる。

 不均衡のある東南アジアでは、今後の政府開発援助(ODA)はメコン地域を重点地域とする一方、ASEANへの民間投資を拡大しつつ「ASEAN共通投資環境構想」を推進するということも考えられる。

 日中両国は昨秋に始まった日中戦略的互恵関係を前進させ、2つの大国が並立してアジア全体に責任を共有し、アジアの公共財をともに提供していくべきだと考える。

 たとえば、エネルギー供給国と日中両国との間のシーレーンの安全は、米国など他国と共通の利益を共有している。昨年、シンガポールに海賊情報共有センターが設立されたが、東アジアへの公共財提供という観点から、日中両国は責任を分担する具体的な共同行動をとるべきだ。

[5月26日/日本経済新聞]

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