「アジアの未来」
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日経アジア賞
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24日の概要
竹中平蔵
日本経済研究センター 特別顧問

 日本と同じ制約 アジアに

 アジアのほとんどの国が経済発展をするようになったのは1980年代に入ってからだ。日本が部品や機械を輸出、アジア諸国は工場としての役割を果たし、米国が消費するというトライアングルが出来上がった。

 90年代に入ると中国が新たに参入、インドも91年以降、高成長を遂げた。98年にロシアとベトナムがアジア太平洋経済協力会議(APEC)に参加するなど、90年代は地域が外縁的に広がった時代だ。

 そして2000年以降、深い統合が起きた。例えば域内貿易の比率は55%くらいになった。これは統合された欧州に近い数字だ。期待インフレ率の低下も地域の経済発展に寄与した。この時期に日本経済も復活した。

 10年ごろからこの地域は制約の時代に突入する。このままではエネルギーの輸入依存度は8割くらいに高まる。人口の頭打ちも制約要因だ。日本は少子化が進んでいるが、大部分の国が近いうちに同様の問題に直面する。省エネでも日本の技術が活用されなければならない。日本は手本にも失敗例にもなりうる。新たな「ルックイースト」の時代が来るだろう。

 インドとベトナムはこの点で特異な存在だ。両国の出生率は依然高く、それが両国への投資家の評価につながっている。

 一国の経済は段階を経て発展するものだが、インドは一足飛びに経済発展している。これは教育の成果で、シリコンバレーのベンチャー創業者の4人に1人がインド人という状況だ。

 この両国も含めアジアには共通の課題が残っている。その1つが二重経済の構造だ。一部の分野の生産性は高いのに、ほかの分野が弱い。日本の農業や中国の内陸部などがその例だ。一番重要なのは知的な交流だ。日米関係を考えても終戦直後から留学などで交流があり、今日の関係ができた。学生や研究者の交流を活発にする必要がある。

[5月25日/日本経済新聞]

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