国際交流会議「アジアの未来」は22日夕、「中国とどう向き合うか」をテーマに討論した。討論でシンガポールのリー・クアンユー上級相は、中国は日本の産業にとって今後10―15年は生産拠点や市場を供給するパートナーとなるが、「20―30年後には生産技術を身につけることで競争相手という姿に変わるだろう」との見通しを語った。小林陽太郎富士ゼロックス会長(経済同友会代表幹事)は、中国はそうした予想よりも早く競争相手に成長するとの認識を示した。
リー上級相は、日本が産業競争力を高める中国に対抗していけるかは「研究開発によるハイテクの優位性を保てるか、新しい先端技術を育てられるかどうかにかかっている」と指摘。そのためには「日本は起業家、個人を育成しなければならない」と述べた。また小林会長は、中国の成長が一時的に日本の産業に空洞化を起こす可能性があるとしつつ、この難局を「日本経済の生産性をより高くするためのテコにすべきだ」と強調した。
モデレーターを務めた田中直毅・21世紀政策研究所理事長は、日本が海外生産拠点を東南アジアから中国に広げる中で「東南アジアと中国の(生産拠点としての)競争関係が、現実に出てきている」と指摘。その上で、日本が東南アジアとのかかわりを今後どう維持していくのかも1つの課題だとの見方を語り議論を締めくくった。