個人主導で高成長維持
中国経済は構造転換のさなかにある。軽工業が経済成長を主導した1990年代初めまでと違い、いまは重工業の比率が60%を占める。日本の60年代半ばから70年代初めまでと似た工業化の中間段階にあるといえるだろう。
住宅、自動車の購入意欲を喚起する政策をとれば、一段と高成長を促すことが可能だ。80年代に都市部で冷蔵庫、テレビなどの家電が一気に普及して高成長を実現したように、個人消費が主導すれば今後10年は9−10%成長を確保できる。
日本、韓国、台湾と異なり、中国はサービス業の発展が遅れた。工業化と都市化が並行しなかったため、都市部人口は全体の30%にとどまる。農村部の労働力を非農業部門に転換するペースをあげなければならない。
未成熟な債券市場など資本市場の整備も課題だ。ただ、いまは人民元の国際化と資本市場の開放をすべきではない。