元ドル相場、弾力化必要
中国はドルに事実上固定(ペッグ)している為替制度を徐々に弾力化していく必要がある。現在は経常黒字と直接投資の流入で常にドル余剰となっているが、人民銀行(中央銀行)が人民元売り・ドル買い介入で為替相場を安定させ、市中に人民元を供給している。金融政策の自由度を維持するという観点からも為替相場の変動余地を広げていくことが必要だ。
通貨が強くなることは交易条件の改善にもつながり、マイナス面だけではない。ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)の強さを測るバロメーターとして為替相場があるという考えに移行していくことを期待する。
日本は資本の完全自由化までに30年以上かかったが、グローバル化が加速していることを考えると、投資家は待ってくれない。中国の高度成長を支えているのは技術移転を伴う海外からの直接投資。投資家の期待に応える形で(資本)自由化のスケジュールを公表していくことが望ましい。