技術革新、分業体制で実現
聯華電子が1999年に買収した千葉県の工場はそれまで3年連続で赤字だった。買収後に業態をファウンドリー(受託生産会社)に変えて事業構造を改革していったところ黒字化に成功することができた。
半導体業界では、設計と製造などを別の企業が担当する「分業化」が世界的な潮流になっている。目覚ましい技術革新を実現していくには、こうした分業体制が欠かせない。我々のようなファウンドリーは現在、世界市場の約20%を押さえているが2010年には50%を超えるだろう。
これは産業の空洞化と密接に関係している。日本の半導体メーカーの多くは、開発から生産まですべてを1社で手がける垂直統合型の事業構造をとっている。多くの企業が製造工程をコストの安い発展途上国に移す中、日本は(垂直統合型に)こだわり競争力を低下させた。最近になり日本メーカーもようやく分業化の流れに乗ってきた。
競争力回復には、役員や従業員の生産性を高めるためのインセンティブも必要だ。我々は米国型と違う独自の持ち株制度を1983年から導入している。日本でも税制などの制度面を整備し、(同様の制度を)導入できるようにすべきだろう。