1997年のアジア金融危機は成長神話に冷や水を浴びせた。しかしグローバリゼーションの「負の遺産」に警鐘を鳴らした金融危機によって、東アジア諸国はむしろ強い協力の枠組みの必要性に目覚めた。

　日本は地域協力を通じて「共に歩み共に進む」意識を共有するコミュニティーにつなげていきたいと考えている。地域の不安定要因となりうる様々な格差に目を背けることなく、是正に正面から取り組むべきだ。

　中国経済の成長は、東アジア地域のさらなる発展と協力の機会を提供しつつある。中国の存在感の高まりを警戒する見方も一部にあるが、このような中国の役割を考えれば正しくない論評だ。

　さらに中国は東アジアの地域協力に建設的な役割を果たしつつあり、わが国は中国の積極的な姿勢を歓迎している。今後とも手を取り合って地域の安定と繁栄を築きたい。

　わが国はＡＳＥＡＮと北東アジアを包括する「ＡＳＥＡＮプラス３」の枠組みを最大限活用し、地域協力を進めていく。朝鮮半島情勢、ミャンマー民主化、東ティモールの国造りなどの課題にも積極的に取り組んでいくことが重要だ。

　アジアの将来はそこに住む私たちの意志と能力で築いていく以外にない。未来を明るいものとするため、東アジア地域協力への決意を新たにしている。