「アジアの未来」
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中国発展はアジア共通の利益・小泉首相あいさつ

 小泉純一郎首相は21日、第8回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)の晩餐(ばんさん)会であいさつし、中国の発展は「アジアや世界全体の繁栄に望ましい」として共通の利益になるとの考えを表明した。これに先立って、マハティール・マレーシア首相は「東南アジア諸国連合(ASEAN)は中国とどう競争、協調していくか」とのテーマで講演した。

 首相は「中国がその存在感にふさわしい役割を果たすには、国際社会の普遍的価値とルールを尊重することが不可欠だ」と指摘し、地域の安定や人権問題などへの積極的な対応を求めた。

 中国が抱える課題としては(1)高い経済成長を続ける沿岸部と内陸部の格差拡大(2)貧困に加え急速な経済発展に伴う環境破壊の深刻化――などを例示。そのうえで「中国が困難を克服し開放的な市場経済として発展していくことは、アジア諸国、世界全体の繁栄にとって望ましい」と評価した。

 対中脅威論に関しては「急速に経済力をつける中国を脅威と見る向きもあるが、まずは等身大の正しい評価をすることが大切だ」と強調し、過度の警戒感を戒めた。

 日中関係では、中国・瀋陽の日本総領事館に駆け込んだ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)からの脱出者5人の連行事件を念頭に「中国とは時として困難な問題が生じる。日中関係という大きな枠組みを踏まえつつ、国際法の原則の中で冷静に問題処理に当たる必要がある」と語り、大局的な観点での早期解決に期待を示した。

 アジア外交をめぐっては日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の貿易・投資の自由化を含む連携強化の重要性を改めて訴え「このような取り組みが土台となって将来、東アジア全域における経済連携が強化されることを期待している」と語った。

 これに先立ち川口順子外相も「新時代におけるアジア地域協力」と題して講演した。首相が提唱する日中韓にASEAN、大洋州を加えた「東アジア拡大コミュニティ構想」の意義を訴え「地域の不安定要因となりうる政治的、経済的な格差に目を背けることなく正面から是正に取り組むべきだ」と強調した。

 対中政策では「日本にとって中国は東アジアの重要なパートナーだ。中国の東アジア地域協力への積極的な姿勢を歓迎し、手を取り合って地域の安定と繁栄を築いていきたい」と語り、多国間協力を含めた一層の協力体制の強化に意欲を示した。

 一方、瀋陽総領事館事件に関しては「日中関係の良好な大局に影響を与えることは避けなければならない。現在、最も優先的に考慮すべきなのは人道上の観点から関係者5人の身柄問題の解決に努めることだ。中国側と協議しつつ早期解決に全力を尽くす」と強調した。

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