「アジアの未来」
HOME

フロントページ
速報
21日の概要
22日の概要
会議日程
講師紹介
アジアの未来
2001
2000
1999
1998
1997
日経アジア賞
English
21日の概要
グロリア・マカパガル・アロヨ氏
フィリピン大統領

 WTO加盟を歓迎

 私が昨年1月に大統領に就任した当時、前任者の政治スキャンダルのため資本逃避が起こり金利やインフレ率が上昇。通貨ペソは歴史的なレベルに下落していた。

 だが財政赤字削減や物価安定を重視した政策の結果、フィリピン経済は実質3.7%成長を達成、インフレ率や金利も低水準に抑え込んだ。格付け会社は我が国の格付けをマイナス評価から「安定的」へ引き上げた。

 日本が経済再生に成功するかどうかは世界経済にとって重要だ。日本は資本と技術を持っており、今後もアジアのリーダーであり続けるだろう。我々は日本のリーダーシップと経済回復に全幅の信頼を置いている。

 中国がASEANの恐るべき競争相手になるとの懸念もあるが、我々は中国のWTO加盟を歓迎する。

 ASEANの輸出企業はこれまで20年以上にわたって主力市場で中国と競争してきた。中国がWTOという国際的規範に身を置いたことは、ASEANにとって有利なことだ。製造部門での相互補完と水平分業によってASEANは優位に立てる。

 短期的には、中国はASEAN経済に競争圧力を加えるかも知れないが、長い目で見れば中国市場は生産やサービスを引きつける「磁石」となるだろう。

 ASEANは5億人、中国は13億人の人口を持ち、統合すれば世界の3分の1近い18億人の一大市場が形成される。両地域には多様な人材や天然資源があり、自由貿易地域創設により投資効率も高まる。

 通貨スワップ協定のネットワークは、東アジアにおける強力な通貨金融協力の第一歩だ。我々は将来的にはアジアの共通通貨バスケット導入についてさらに調査・研究を進めることができるだろう。10年のうちに実現できるかどうかは別として、東アジアでは通貨統合も含めた欧州連合(EU)型の地域統合も可能だと思う。

 日本、中国という二大経済とASEANが統合することによって、東アジアは真に世界最大の市場となることができる。

一覧へ戻る

Copyright 2002 Nihon Keizai Shimbun, Inc., all rights reserved.