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グロリア・マカパガル・アロヨ
フィリピン 大統領

 日比EPAは画期的

 ASEANは誕生してから40年がたち、世界の平和と安定、経済成長に貢献してきた。ただこれは競争に勝ったということを意味しない。我々は短距離走に参加しているのではなく、マラソンをやっているのだ。

 ASEANは今後40年がどうなるのかということを考えなければならない。繁栄の可能性も格差拡大の可能性もある。平和と核兵器保有国増加の双方の可能性がある。環境改善と地球温暖化の双方の可能性もある。地球規模の問題は地球規模の対応を必要としている。

 FTAに関してASEANは中国と締結、韓国とも交渉の最終段階に入っている。日本やEUとも協議している。加盟国はそれぞれ二国間FTAも進めている。こうした動きは世界の貿易と投資の拡大に貢献する。

 中国の発展は脅威ではなく、機会だと考えている。ASEANと中国との関係は、貿易や投資を通して以前よりも成熟し、より包括的になってきた。日中韓3カ国との深い関係は東アジア共同体の安定と繁栄に不可欠な要素だ。日中関係が地域の安定にとっては非常に重要だ。この二大国の関係がますます改善しているとのニュースは大変喜ばしい。

 日本との関係では、日比EPAが非常に画期的だと考えている。EPAが貿易の自由化や技術協力、人材育成などを進めることにつながる。フィリピン人の看護師が日本に行くことにもなるだろう。日本はASEAN共同体の発展にとって重要なパートナーだ。

 中国とインドが発展する中で、日本は地域の安定と均衡を保つうえで従来以上に中心的な役割を果たす必要がある。日本はフィリピン南部でも非軍事的なソフトパワーで重要な役割を果たしている。日本が集団安全保障に関する考え方を広げ、より大きな貢献をすることをフィリピンも強く支援したい。

 日比EPAでフィリピン上院の批准手続きに時間がかかっているのは、国内法を変える必要があるためだ。ただEPAの利点を国内に説明できれば、上院で批准に反対する人はいないだろう。

 フィリピンでは昨年、丸紅と東京電力が35億ドルで発電所を買収し、さらに5億ドルを投じて拡張することを決めた。その後、米国企業からの投資誘致にも成功した。先週の選挙が平和裏に終わり、国内経済の安定を示すことができた。

 フィリピンはIT(情報技術)関連のインフラ整備に力を入れている。サービス産業も拡大しており、雇用の創出に役立っている。また先行するブラジルをモデルにしてバイオ燃料事業の促進も始めた。こうしたことで経済がさらに発展し、貧困の解消につながると考えている。

[5月25日/日本経済新聞]

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