「アジアの未来」
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3日の概要
アジアとFTA推進、対日投資・貿易の環境整備急ぐ

 小泉純一郎首相は3日、都内のホテルで開いた第10回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)の晩さん会であいさつし、アジア諸国との自由貿易協定(FTA)を推進し「地域的な経済連携ネットワークの発展に貢献する」と表明した。同時に「外国企業にとって日本が魅力的な市場になるよう一層努力する」と、対日貿易・投資額の増加へ積極的に取り組む考えを示した。

 日本とアジア各国とのFTAは、2002年1月にシンガポールと調印。昨年12月には韓国と政府間交渉を始めたほか、マレーシア、タイ、フィリピンとも相次いで交渉を開始している。東南アジア諸国連合(ASEAN)全体とのFTA締結は、2012年を目指して作業を進めている。

 こうした現状を踏まえ、首相は「この地域においては、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インドも巻き込みながら、様々な地域協力が急速に拡大、深化しつつある」と指摘した。そのうえで「経済連携協定は、今後の地域協力の基礎を固めるものだ」として、FTA交渉を加速すると強調した。

 同時に「経済連携の強化を基礎としつつ、貿易・投資額を実際に増加させる努力も必要だ」と述べた。首相は2003年に6兆6000億円だった対日直接投資額を2008年に倍増する目標を掲げており、規制改革などを念頭に、取り組みを強化する考えを示したものだ。

 首相は昨年12月にASEANの全首脳を域外に初めて集めた東京での日本・ASEAN特別首脳会議にも触れて「幅広い分野における日・ASEAN関係の新たな方向性を打ち出す歴史的な会議だった」と、ASEANとの友好関係発展に意欲を示した。

 具体的な例として「通貨・金融危機の再発防止を目的とする通貨融通ネットワークの構築が進められている。総額365億ドルの規模に達し、そのうち160億ドルをわが国が出資している」と紹介。安全保障分野ではテロや人の密輸、海賊対策での協力進展を挙げた。

 文化・人的交流では(1)2005年を「日韓友情年」として、さらなる活性化を図る(2)日本は2010年までに年間1000万人の外国人訪日を実現する観光振興に取り組んでいる(3)日中の人の往来は約350万人、日韓は370万人が往来している――として「大きく進展している」との見方を示した。

 首相は幅広い分野での交流・協力の深まりを背景に「最近、東アジアコミュニティー(共同体)についての議論がますます活発に行われている」と強調。自らが02年1月にASEANを訪問した際に提唱し、日本・ASEAN特別首脳会議で「構築を希求する」との方針を確認した「東アジア共同体」の推進に向けて、今後も積極的な役割を果たすと力説した。

[6月4日/日本経済新聞]

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