3日の概要
討論「アジアの新世代に託す夢」
中国の経済・政治
司会
中国は脅威であると同時に機会でもある。中国の今後の経済・社会・政治の動向をどうみたらいいか。
マハティール氏
中国の存在は大きく、アジア各国はある種の不安とともに動向を見守っているが、その存在を認め、適合しなければならない。低コスト生産地としてだけでなく、将来のモノの売り込み先にもなる。我々が連携すれば、アジアが世界にとっても良い市場になる。緩やかだが実効性のある共同体づくりを目指すべきだ。
ラモス氏
中国との対話を広げ、平和への理解を深めれば、中国の行動を予見しやすくなるだろう。胡錦濤国家主席をはじめ、中国の高官、識者は平和の向上に関心を持っている。「われわれを恐れるな、経済の高まりにのみまい進しているのだ。投資・貿易で適切な役割をはたそうしている」と彼らは言う。真摯(しんし)に話していると思う。
中国の世界貿易機関(WTO)加盟直後に聞いたことだが、注意すべきなのは中国が依然自らを「中華(世界の繁栄の中心)」と考えている点。中国の学者は中国が米国を追い越し、2005年には世界最大の経済になると言っていた。歴史の中で、長い間世界最大の経済だった中国の野心を忘れてはいけない。
司会
1820年、中国が世界の国内総生産(GDP)に占める割合は28.7%で、2位はインドの16%。3位はフランスの5.4%で、米国は1.8%だった。
マハティール氏
中国はWTO加盟に懸命な努力をしてきた。プレミアムを払って世界経済に統合し、協調しているのは重要なことだ。中国を軍事的脅威という人もいるが、中国自身は自国民の状況に関心がある。中国が戦争をするのではないかと心配する向きもあるが、もはや戦争は問題の解決にならない。
中曽根氏
中国についての観測だが、2010年までは平和で穏健な外交政策を維持すると思う。ASEANには柔軟で低姿勢にみえる。2008年のオリンピック開催、2010年の万国博覧会までは平和で柔軟な外交政策をとるのではないか。朱鎔基前首相はかねて「東アジア共同体」に言及。日中韓の協調にも言明していた。
[6月4日/日本経済新聞]
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