「アジアの未来」
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3日の概要
討論「アジアの新世代に託す夢」
左からマハティール・マレーシア前首相、ラモス・フィリピン元大統領、中曽根康弘元首相

 アジアの地域統合

 3日の国際交流会議「アジアの未来」では「アジアの新世代に託す夢」を巡り、マハティール・マレーシア前首相、ラモス・フィリピン元大統領、中曽根康弘元首相が討論した。司会は日本経済研究センターの小島明会長。
 
司会 アジア地域の統合について、まず3氏の意見を伺いたい。
 
マハティール氏 アジアの連携を実現するには過去を振り返りすぎてはならない。考えを変えて過去を忘れられれば、統合に向けて一歩進んだことになる。欧州連合(EU)は当初、数カ国の集まりから出発した。アジアでも数カ国が主導して取り組むべきだ。欧州が50年かけて実現した経験を学ぶことで我々の統合を短縮できる。  

ラモス氏 東アジアの地域統合は経済にとどまらず、政治・安全保障も含めるべきだ。幅広い分野の統合を実現するのは、われわれに続く若い指導者に残された課題。「競争の精神」より「協調の精神」が必要だ。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)はこれまで、東アジア全体に経済に限らない広範な問題を話し合う機会を設けてきた。ASEAN地域フォーラム(ARF)は北東アジアの日本、中国、韓国が政治・安全保障問題を協議する場になってきた。この枠組みは最終的な地域統合を実現する手立てになり得る。
 
中曽根氏 東アジアでは指導者が若返った。21世紀の新しいアジアの統合を新鮮な感覚で進めてくれると思う。日本人としてはASEANに比べて北東3カ国(日中韓)間の協力が弱い気がする。3カ国が協調して統合に取り組む体系が必要だ。3カ国首脳が定期的に会合する制度を早期につくるべきだ。

 ASEANと日中韓の3カ国の全首脳の名の下に学者や識者、専門家を動員して東アジア共同体、経済協力機構をいかにつくるのか。その内容とプロセスを研究するために合同の研究会議をつくることを提議したい。

ラモス氏 日中韓の首脳会談の制度化を支持したい。北東アジアには北朝鮮の核開発問題が横たわり、核の脅威が現実にある。歴史問題が障害になろうが、過去にこだわらず話し合うべきだ。

 日中韓は米国に代わり、東アジアにおける安全保障の傘の役割を果たす時期に来ている。安全保障面の統合の議論は3カ国が先行して進め、国際テロ組織アルカイダなどテロ情報を持つASEANやオーストラリア、ニュージーランドも参加する形が望ましい。パックスアメリカーナ(米国主導の平和)ではなく、パックスアジア・パシフィカ(アジア太平洋主導の平和)ということ。東アジアのコアグループを形成する必要がある。

[6月4日/日本経済新聞]

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