「アジアの未来」
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日経アジア賞
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5日の概要
マハティール・ビン・モハマド氏
マレーシア首相

 イスラムの権利保証を

 イスラム原理主義者からの圧力が強まっているとの指摘があるが、私こそが本来の意味での原理主義者だ。イスラム教は元来、平和と共存を志向し、攻撃されない限り武力に訴えることはない。

 1400年もの間、イスラム教は他人の利益にかなうように勝手に解釈されてきた。イスラム教徒が怒りを感じるのは当然だろう。パレスチナでは、イスラエルの建国によって人々の土地が奪われた。イスラム教徒には不当に権利を奪われているとの思いが強い。大事なのは彼らの権利を保証し、問題の根源を取り除くことだ。そうすれば、テロ行為も減少する。

 ある国が信頼に足るかどうか、立場によって判断は分かれる。北朝鮮のことをある国は「悪の枢軸」とさえみている。北朝鮮の核拡散防止条約(NPT)復帰には、貧困克服や食料・電力不足の解消が必要になるだろう。

 北朝鮮が核開発計画を再開したのは、1994年の米朝枠組み合意後に支援がなされなかったためだ。支援が再開すれば、説得や対話で核問題を解決できるはずだ。世界全体からみればコストはそれほどかからない。  西洋が主導する国際政治・経済秩序には問題が多い。国際金融体制は最も急速に発展していたアジアを破壊した。その元凶である為替トレーダーの略奪行為に対し、われわれは一緒になって問題点を主張していない。

 アジアの金融・経済制度は各国それぞれが独自につくっていかなければならない。単一通貨の導入はまだ遠い将来のことだろうが、われわれ共通の貿易通貨を新たに設けることはできる。為替相場は市場操作に左右されてはならない。通貨の切り下げなども各国の必要に応じて実施されるべきだ。

[6月6日/日本経済新聞]

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