「アジアの未来」
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日経アジア賞
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5日の概要
タクシン・チナワット氏
タイ首相

 債券市場、アジア通貨で

 1997年のアジア通貨危機は数百万人の失業者を生んだ。危機は各国の相互依存関係を通して、アジア全体に瞬く間に広がったが、ほぼ6年が過ぎ、経済的に立ち直った国もある。再び同じ危機を招いてはならない。

 アジアは世界人口の60%以上を占め、農産物、衣料製品など生活必需品の生産に適した地域で、域内消費に加え、輸出により富を生み出せる。空港や港湾も整っている。課題は巨大な潜在力を引き出せるかだ。

 2002年にタイで開いた「アジア協力対話(ACD)」はアジアの未来を戦略的に討議し、時宜にかなった。エネルギーの安全保障、貧困対策、中小企業育成など18の共同プロジェクトが動き出している。

 2週間後にタイのチェンマイで開くACD外相会議ではアジア債券市場の創設が議題になろう。アジアは資金を欧米の債券に投じ西欧を富ませたが、自らの成長には活用できなかった。

 日本、中国、韓国などがアジア債券市場創設に向けた10億ドルの基金へ拠出を決めた。市場ができれば世界の外貨準備の半分を占めるアジアの資金を域内に投資できるようになる。債券は米ドル建てで始めるが、将来はアジア通貨に切り替えていきたい。

 自由貿易協定(FTA)も重要だ。FTAはアジアの将来を保証する。市場開放は貿易拡大により発展途上国の雇用を創出し、日本製品の販売拡大にもつながる。

 一方、アジア太平洋地域の安全保障を確保するため、米国やロシアも参加するARFの枠組みを有効に活用すべきだ。北朝鮮首脳は自らの孤立を自覚している。苦しい時に手を差し伸べれば、核問題は平和解決に向かっていくはずだ。

[6月6日/日本経済新聞]

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