混迷の時代、メディアの責任果たす

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 私たちはかつてないほど不確実性が高まった世界を生きています。新型コロナウイルスの感染拡大によって分断や格差などの構造問題があぶりだされ、グローバルなパワーバランスも変化のときを迎えています。民主主義や資本主義という、長い時間をかけて人類が築き上げた価値観が揺らぎを見せています。気候変動や人種・性別による差別など、一刻も早く手を打たなければならない課題とも世界は向き合っています。
 混迷の時代に報道機関が果たすべき責任は、信頼に足る情報を提供し続けることです。複雑化した世界にあって、一つの物差しだけで答えを見つけることは難しくなっています。先入観を持たずに考え、徹底的に調べる――。日本経済新聞は特定のイデオロギーに偏せず、リアリズムに立脚してメディアとしての社会的な責任を果たしていきます。
 読者の期待に応えるため、日経はデジタルとグローバルという新しい地平に踏み出してきました。2010年に創刊した「日本経済新聞電子版」は有料会員数約80万人と世界有数のネットメディアに育ち、朝夕刊に先んじてニュースや解説を配信する新たな手法が定着してきました。報道に加え、情報サービスやイベント、人材教育などもデジタルの力によって新たな付加価値を生み出しています。
 英国の有力経済メディア、フィナンシャル・タイムズ(FT)というパートナーとともに、グローバルな発信力も高めています。FTとの交流で人材とコンテンツの厚みが増し、アジアの経済情報を英語で世界に発信する「Nikkei Asia」は着実に存在感を高めています。
 日経にとって最大の資産は人材です。年齢にかかわらず意欲と能力のある人材を登用する制度を導入したほか、女性や外国人の社員が働きやすい職場環境の整備にも積極的に取り組んでいます。社員一人ひとりの挑戦が日経を力強く成長させます。グローバルレベルの質の高いコンテンツを世界に発信するため、従来の枠組みにとらわれない改革を進めてまいります。

日本経済新聞社 代表取締役社長

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