グループ長期経営計画

2030年グループ長期経営計画を策定 成長の道筋示す

日本経済新聞社は2030年に向けたグループ長期経営計画を策定しました。グループ長計は、日経グループのバリュー、パーパス、ミッションに沿って、各事業の将来像を具体的に示したものです。社会に対して価値を提供し、顧客の選択を助けることにより、成長していくグループの意思であり、新たな指針となります。

1. 事業領域は4つのドメインで

日経グループの価値を最大化するため、4つの事業ドメイン(領域)を特定しました。メディア事業のNews&Insights、広告を中心とするBrand Communication、データビジネスを中心とするDecision-making、教育・文化事業などのExperienceからなります。ドメインごとの事業の方向性は以下の通りです。

News&Insights  読者の「気づく、つながる」を支える

報道を核としたメディア事業が中心となるドメインで、グループの日経BPや英フィナンシャル・タイムズ(FT)の関連事業も含みます。デジタルを軸に世界で圧倒的な存在感と影響力を持つグローバル経済メディアの地位を確立します。人工知能(AI)活用と双方向コミュニティで「読んで、使えて、つながる」メディアに進化します。FTは成長余地の大きい米国、インドで読者開拓を加速します。

Brand Communication  顧客企業の「価値を伝え、社会と交わる」を支える

メディアビジネス事業やグループの日経BP、FT、日本経済社が取り組む広告やイベントなどが主な領域です。企業のマーケティング戦略の立案から関与し、上流から下流までを支えるパートナーになります。経営層・富裕層を最も効率よくカバーするメディア企業として、プリント・デジタル・イベントを最適な形で組み合わせ、企業の価値を伝える統合型ソリューションを提供します。

Decision-making  意思決定者の「調べる、決める」を支える

情報サービス部門とグループのQUICK、日経BP、日経リサーチなどの事業で構成しています。収集・提供データの領域を企業の財務情報から非財務情報へ大幅に広げます。日本の情報を網羅して世界に販売するとともに、世界の情報を日本企業に提供する橋渡し役となります。総合的なリスク管理支援など、顧客の経営課題を解決するサービスへと事業領域を広げます。

Experience  一人ひとりの「高める、成長する」を支える

教育事業、IDビジネス、文化事業と、グループの日経BP、日経HRの事業を含むドメインです。個人のキャリア形成、企業の人的資本経営を幅広く支援する事業群を構築します。日経IDを基盤としたビジネス人材ネットワークの育成、独自の人材評価指標の開発を通じ、教育事業やキャリア事業を強化します。文化事業はデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、電子版に由来しない顧客の日経ID化を進めます。

2. すべての事業が社会価値を生む

日経グループのすべての事業が世の中にポジティブな影響を与え、社会価値を生み出します。News&Insightsのドメインが社会に提供する価値は「健全な民主主義と資本主義」、Brand Communicationは「産業競争力や企業価値の向上、多様性に富む社会基盤」、Decision-makingは「データとエビデンスに基づく適切な意思決定の仕組み、持続可能な経済基盤」、Experienceは「一人ひとりの成長機会」です。
社会価値の成果が経済価値、すなわち収益となり、生み出したキャッシュをイノベーションや社員に投資して持続的な成長につなげていきます。この循環でグローバルな競争を勝ち抜いていきます。

日経グループの事業循環イメージ図

3. 日経グループの統一目標としての「GPA」

グループのコンテンツを有料で消費するユーザー数を足し上げた「GPA(Global Paying Audience)」という経営指標を導入します。FTが取り組み始めており、グループの統一目標と位置づけます。日経とFTを合計した2030年の目標を1000万GPAと、22年より3割増やします。
GPAは以下の意味を持ちます。

  • GPAはグループが提供する商品、サービスの価値を認めてくれた読者・顧客の数を表します。私たちが継続的に成長を支えている読者・顧客の規模でもあります
  • ミッションが実現し、パーパスに近づいたときの世界観を数字に置き換えました
  • GPAを伸ばすには組織や会社間のシナジー効果を高める必要があります。グループ連携のシンボルとします
  • ARPU(Average Revenue Per User=顧客1人あたりの売上高)とセットで考え、グループの収益性を測る指標とします

4. 収益目標は連結売上高4000億円、営業利益率10%

経済価値は社会価値を提供することによる対価であると同時に、売り上げや利益は企業が成長し、パーパスやミッションを実現していくために欠かせません。
GPAが1000万に到達したときの姿として、2030年の連結売上高で4000億円、売上高営業利益率10%、営業利益400億円を目標とします。これだけの利益を確保できれば戦略的な成長投資に毎年200億円以上を投じることができます。また、グローバルメディアの売上高で見ても上位に位置し、世界的に影響力を持ち続けられます。
各ドメインの2022年の売上高と、間接コストなどを含まないドメイン利益、2030年の目標は以下の通りです。

  • News&Insightsは、2022年の売上高1480億円、ドメイン利益560億円。2030年は売上高1600億円、ドメイン利益640億円を目指します
  • Brand Communicationは、2022年の売上高1240億円、ドメイン利益330億円。2030年は売上高1400億円、ドメイン利益420億円を目指します
  • Decision-makingは、2022年の売上高600億円、ドメイン利益210億円。2030年は売上高800億円、ドメイン利益290億円を目指します
  • Experienceは、2022年の売上高70億円、ドメイン損益10億円の赤字。2030年は売上高270億円、ドメイン利益50億円を目指します

各事業の現状からの積み上げでは環境の変化に対応できません。まず2030年のありたい姿を描き、そこに到達する道筋を考えるバックキャスト思考を採用しました。実現するには外部のリソースを取り込む非連続の成長も必要になります。

5. 紙の新聞は「日経のブランドと経営を支える存在」

事業のデジタル化が進んでも、2030年も紙の新聞は日経ブランドの根幹であり、収益事業として経営を支える存在であり続けます。紙の事業に携わるすべての社員がプライドをもって仕事を続けられるようにします。
2030年の朝刊部数は現状から半減も念頭に置く必要があります。購読を続けてもらえるようコンテンツのあり方、広告の見せ方を徹底的に見直します。企業や国の意思決定層、マネジメント層などを主な読者層と想定し、専門媒体の再編も含め「新しい総合プリントメディア」へと再定義します。

6. 企業文化の改革を目指す

グループ長計は「事業の改革」であると同時に「企業文化の改革」でもあります。組織の垣根を超え、会社の枠を超え、国の壁も超えて、必要なら外部のリソースも躊躇なく取り入れる集団になる必要があります。こうした変化を主導するには、グローバルに通用する専門性の高い人材が不可欠です。「オープン」「インクルーシブ」「プロフェッショナル」をキーワードに改革に取り組んでいきます。