「アジアの未来」
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アジアの未来
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日経アジア賞
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8日の概要
マハティール・ビン・モハマド氏
マレーシア首相
 競争にルール必要

 わずか数年前、我々はグローバル化を歓迎したが、現状は混乱している。

 近代技術のおかげで大陸を越えて瞬時に音声や画像を送れる。遺伝子組み換え技術で豊かな食料を確保できる。これがグローバル化後の世界かもしれない。だが我々は神ではない。

 社会主義、共産主義は独裁政権を生み、失望とともに捨てられた。(冷戦後の世界に広まった)民主主義も同じ道をたどるかもしれない。少数者の権利が多数者の権利よりも重視され、多数者が選ぶ政権を非政府組織(NGO)などが倒せるようになった。民主主義の欠点を認め、行き過ぎを抑えなければ破局する。

 グローバル化は行き過ぎている。国境を超えた為替操作でブラジル、東アジア諸国などの経済は打撃を受けた。グローバル化(の流れ)を規制し、その破壊力を弱めれば有益になる。

 市場が自らを律するという前提条件は論理的ではない。企業は競争相手を負かすため、合併を繰り返して巨大化する。寡占や独占を避けるには、企業規模を規制すればよい。競争には一定のルールが必要だ。

 通貨に関しては、一国に属さない単一の国際通貨を作るべきだ。各国の為替相場はこの新通貨を基準に決め、国際貿易も新通貨で決済する。新通貨で得た利益を各国の中央銀行に預け、中銀は国内取引向けに現地通貨を発行する。

 (グローバル化の進展により)自由な資本移動で利益を得た企業などには「世界税」を課すべきだ。この税金は国際機関が管理し空港、道路などのインフラ整備にあてる。輸出入のコストが下がれば世界貿易は拡大し、貧困は消える。貧しい国もグローバル化された世界の一員になれる。

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