「スワップ協定」推進
アジアの金融市場を効率的にするには、さまざまな課題がある。一点目は、この地域が政治的、経済的に多様だということだ。このことが、効果的な地域経済協力の実施に向けた各国の協調を難しくしている。
二つ目は、アジア各国の経済が深刻なリストラの途上にある点だ。タイは不良債権処理や民間債務の削減などの政策を進めている。1997年に1120億ドルだった対外債務は、今年1月には800億ドルまで減り、外貨準備も320億ドルまで回復した。
しかし、経常収支の改善は対米輸出に支えられており、米景気の減速でタイ経済は大きな影響を受けるはずだ。不良債権処理も遅れれば、成長率は2.5%以下になってしまうのではないだろうか。
アジアの金融市場を活性化し、通貨危機の再来を防ぐには、各国・地域が協力して相場の動きを監視し、ある程度抑制していくことが必要だ。
今後は、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓が2000年5月にタイで合意した、各国間の通貨スワップ協定の拡大をさらに進めるべきだと考えている。
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