開かれた統合を
WTOの場で多国間で自由貿易を推進する努力がなされている一方で、ASEANを含め世界各国で地域的な自由貿易地域を形成しようという動きがある。この事実は無視することはできない。
アジア経済危機では、危機に襲われた国はIMFに駆け込まざるを得なかったが、地域間協力というオプションがあってもよかった。かつては地域統合は反対意見が多かったが、シアトルでの多角的貿易交渉の失敗以来、より現実的なアプローチとして注目されている。
ただ、地域統合がWTOの基本方針に適合したものである必要はある。例えば、農業など議論の多い分野を含むすべてのモノ・サービスを対象とすべきだが、非加盟国に対しても開かれた統合であるべきだ。
アジア地域の自由貿易圏構想実現のため4つの方向性を提案したい。1つは東南アジアから中国、韓国、日本、インド、豪州、ニュージーランドへと地域を拡大すること。第2は流動性のある基金の創設。第三が貿易、通貨から投資、開発まで含めた全面的な統合。最後にメコン流域国の協力など既存の地域協力も枠組みの中に取り組むことだ。
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