「アジアの未来」
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9日の概要

スパチャイ・パニチャパック氏
副首相兼商業大臣(タイ)、世界貿易機関(WTO)次期事務局長
 日中韓含め協調・人材開発など多面的に

 アジア経済は底入れしたものの、回復の取り組みはまだ不完全だ。タイでは金融制度改革が銀行の不良債権処理や増資に時間がかかり道半ばにある。改革が終わるにはあと2年ほどかかるだろう。韓国では政府がとった断固たる経済再建措置は称賛に値するが、完全な回復には財閥の債務処理などが必要だ。フィリピンもアジア域外の貿易が減って経済成長に減速の兆しがある。

 日本経済が健全性を取り戻しつつあることはアジア経済にとって極めて重要だ。アジア諸国との貿易は増え、金融・消費市場にも明るい見通しが広がっている。中国が世界貿易機関(WTO)に参加することも、アジア諸国間の貿易促進が期待できる。

 アジア経済再生のためには、まず各国が貿易と投資を拡大することが重要だ。産業改革や農業改革なども進めなければならない。さらに地域レベルで、アジア諸国が経済的により密接に連携する必要がある。欧州や米州では経済統合の動きが盛んだ。経済危機は経済全体の組織的な動きであり、アジアでは世界銀行や国際通貨基金(IMF)に頼るのではなく、地域全体が協力して危機再発を防がなければならない。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)の指導者は貿易・投資・人材開発・通信などあらゆる面で相互協力を深め、より緊密な経済統合を目指そうという意思を示している。最終的には自由貿易圏のような取り決めがなされ、さらに日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドも含む広域経済圏になることを希望する。


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