「アジアの未来」
NIKKEI NET

フロントページ
速報
8日の概要
9日の概要
会議日程
講師略歴
アジアの未来'99
アジアの未来'98
アジアの未来'97
第5回アジア賞
ENGLISH
鶴田 卓彦 日本経済新聞社社長
開会あいさつ
 日本経済新聞社の鶴田でございます。

 本日、ここに第6回国際交流会議「アジアの未来」を開催できますことを本当に嬉しく思います。

 日本経済新聞社はアジアの人々の相互理解を深めるため、1995年から毎年、この会議を開いて参りました。これまでに講師として海外からお招きした方は、今回ご出席の方々を含め15カ国・地域から68人を数えます。日本の講師の方々27人を加えますと、95人のアジアの政治・経済のリーダーの方々に出席して頂いたことになります。

 マレーシアのマハティール首相やシンガポールのリー・クアンユー上級相、フィリピンのシアゾン外相のように、常連講師になって頂いている方々もいらっしゃいます。大変嬉しいことです。

 こうした大規模な国際会議は日経の力だけでは、とてもできません。数多くの企業、機関のご協力を得るとともに、多数の聴講者の方々や内外の報道機関のご参加に支えられて参りました。在京の各国大使館、日本の政府・外務省の方々にも大変お世話になりました。この場をお借りして改めて厚くお礼を申し上げます。

 きょうは、内閣と自民党による小渕前総理の合同葬の日ですが、私は小渕さんがこの会議「アジアの未来」を支えて下さったことを少しお話ししたいと思います。

 「もしもし小渕ですが」と、その後「ブッチホン」と呼ばれて有名になった、ご本人から直接の電話が会議の事務局に入ったのは、4年前の第2回会議の直前でした。まだ外務大臣に就任される前のことで、「アジアの勉強をしたいので、参加させて欲しい」という申し入れでした。

 翌年も一国会議員として参加され、次の第4回会議では外務大臣として開幕講演を引き受けて頂きました。昨年の会議では総理大臣として晩餐会で「経済危機後のアジアでの日本の役割を探るため、政府ミッションを派遣する」と話されました。実際、後に奥田日経連会長を団長とする政府調査団が出かけたのはご存知の通りです。

 その日の晩餐会では、フィリピンのエストラーダ大統領やマレーシアのマハティール首相らアジアの首脳の方々と気さくに話され、デザートが出るまでゆっくりされていたのを思い出します。

 小渕さんは今年1月中旬に日本の首相として33年ぶりにラオスを公式訪問されましたが、今回の会議にラオスから初めての講師、しかもシサワット首相においで頂けることになったのは、小渕総理の訪問が直接のきっかけとなったものです。

 小渕さんは気さくで誠実な政治家として、また日本を経済危機の淵から文字通り懸命に脱出させた総理として、人々の記憶に残ると思いますが、私としてはアジアに強い関心を抱き、この「アジアの未来」会議への協力を惜しまれなかったことを皆さまにご報告し、前総理に心からお礼を申し上げ、ご冥福をお祈りしたいと存じます。

 さて、今回の会議のテーマは「甦るアジア 新世紀への課題」です。この総合テーマのもとで「日韓新時代と朝鮮半島の安定」「東アジアの安定と中国の役割」「東アジアの奇跡は再来するか」「アジア再生のシナリオ」「IT革命と企業戦略」を論じて頂きます。インドネシアのワヒド大統領による特別講演も予定しております。

 アジア経済は成長軌道に復帰しました。再び世界的に見ても高度成長地域といえそうです。米国から始まった情報技術革命いわゆるIT革命の大波はアジアにも達し、新しい成長の原動力となるのかも知れません。

 しかし、昨年の開会のご挨拶で申しあげた、巨額の不良債権を抱える金融システムや、企業経営を圧迫している過剰な債務などの構造的な問題の解決はなお道半ばであります。アジアの回復を支えてきた米国経済の行方や、明るさが増しているとはいえ力強さに欠ける日本経済など、アジア経済を取り巻く情勢にもなお楽観できない要素があります。来週、南北首脳会談が予定される朝鮮半島情勢、中台関係などの大きな問題も、新世紀への課題として残されています。

 日本を含めアジアの国や企業がこうした課題にどう対処し、21世紀へのシナリオを描こうとしているのか。ご出席の方々に自由に発言して頂き、21世紀のアジアが歩む道を探って頂きたいと存じます。この会議にご参加の皆様が、アジアの未来を展望するための手がかりをつかんで頂ければ幸いです。

 「アジアの声」がこの会議から、新聞、テレビ、インターネットなどを通じて世界に発信されていくことは、主催者としての大きな喜びであります。日経は、協力・提携関係にある各国の報道機関とともに、今回も内外への発信を続けます。

 本日は朝早くから国際交流会議「アジアの未来」にご出席を頂き、本当にありがとうございました。

前のページへ
Copyright 2000 Nihon Keizai Shimbun, Inc., all rights reserved.