「アジアの未来」
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日経アジア賞
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23日の概要
池田元博
日本経済新聞社 編集委員

 「挑戦」への対処が道開く

 子供のころから見慣れてきた日本が中心の世界地図。なにげなく逆さにしてみると、ちょっと違った世界がみえてくる。日本が心なしか、ちっぽけにみえる。

 世界経済の原動力となったアジア。世界人口の5割を抱えるアジア。21世紀を迎え、世界のなかのアジアの地位は飛躍的に向上した。

 そのアジアの主役を担ってきた日本は依然、世界第2位の経済大国ではある。だが、躍動する今のアジアで注目を集めているのはむしろ中国やインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)などである。

 「インドや中国に比べて日本は少し遅れているのでは……」(アンワル駐日インドネシア大使)。そんな危惧の声も聞かれるなか、日本の講演者からは「日本の成長戦略は開国」(中川秀直氏)、「健全な経済競争を通して日本がアジアをリードしよう」(竹中平蔵氏)といった提案が相次いだ。

 太平洋が「内海」となる日へ――。太平洋を地中海のように内海にみたて、アジア・太平洋諸国の協力推進を訴えた福田康夫首相の「新福田ドクトリン」も、内向きになりがちな日本の発想転換を促したともいえる。

 問題は急成長するアジアのなかで日本がどういう役割を担っていけばいいのか。東アジア共同体などの枠組み作りで主導的役割を担うのも重要だが、アジアは今、様々な挑戦に直面している。

 ミャンマーを襲ったサイクロン被害や中国の四川大地震などの自然大災害。米国のサブプライムローン問題に端を発した金融危機。原油価格や食料価格の高騰。そして世界的な環境問題と地球温暖化対策である。

 アジアの持続的成長の脅威のみならず、地球全体への挑戦にどう立ち向かうかは緊急の課題。東アジア共同体構築を一貫して唱えているマレーシアのマハティール前首相も「環境、食料、安全、平和なども含めて協力すれば多くの利益がもたらされる」と言い切る。

 日本に期待されるのは挑戦に果敢に対処するイニシアチブではないか。福田首相が提案したアジアの防災・防疫ネットワーク構想もそのひとつだが、会議では「東アジア版の経済協力開発機構(OECD)をつくってエネルギーや環境、マクロ経済政策を話し合う」(田中均氏)といった意見も出た。

 「挑戦」への対処が結果的に、共同体形成への近道になることだってあり得るのではないか。

[5月24日/日本経済新聞]

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