「アジアの未来」
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日経アジア賞
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22日の概要
スウィット・クンキッティ
タイ 副首相 兼 工業相

 災害救援、域内網構築の時期

 アジアは自然災害や原油・食料価格の高騰、物価上昇の加速、米景気の後退懸念など世界経済の減速要因によって傷つきやすい存在である。しかし、それらの挑戦を受けながらもアジア開発銀行や国連の支援によって、アジアは成長を続けている。アジアは世界経済の成長を持続的で安定したものにすることに貢献できるだろう。

 とはいえアジアはさらなる前進を模索しなければならない。一般市民の生活に影響するグローバルな課題への解決策を探るべきだ。グローバルな視点を持ち、地域として行動することが大切だ。

 第1の挑戦は2004年のインド洋大津波や最近起きたミャンマーのサイクロン、中国の四川大地震など自然災害だ。これらはすべてアジアで起き、何万人もの命や生活を奪った。救援活動のリストや機材の共有など災害救援で域内ネットワークを構築する時期にきたといえる。第2の挑戦はエネルギー安全保障だ。地域の競争力を維持するためには、石油代替エネルギーの開発などで一段の努力が必要だろう。

 食糧安保も課題だ。英エコノミスト誌は食料価格の高騰を「静かな津波」と表した。農業投資を強化し生産性を上げる必要がある。(食料価格が)正しく管理されなければ、これまで進めてきた貧困対策が台無しになるかもしれない。

 このような認識からタイは世界の主要コメ輸出国による委員会を再び招集した。コメ生産国のトップテンのうち、実に9カ国がアジアだ。この委員会は定期的に開き、コメ生産量の引き上げ、技術移転、コメの品質向上などの手法を探り、コメ価格安定につなげる。

 現在の食料危機は気候変動と原油価格の高騰とも深く結びついている。エネルギー安全保障と食糧安全保障を融合して考える必要がある。温暖化ガスを削減する日本の「クール・アース50」政策も研究に値する。

[5月23日/日本経済新聞]

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