倪潤峰氏(中国四川長虹電子集団公司董事長兼総経理)
危機の中から教訓・国有企業、改革で生き残り

 目の前の通貨・金融危機という暗雲はまだ消え去っていないが、危機の中にもチャンスは潜んでいる。真剣にその中から教訓をくみ取ることさえできれば、必ず次のさらに大きな発展のために新たな活力が生まれるだろう。危機はアジア経済の10年余りにわたる高度成長の後の調整プロセスの一つであり、東アジアの奇跡の終わりを意味しない。

 むしろ新たな段階がスタートする前兆である。喜ぶべきことに、我々は衝撃を受けた国の中ですでに経済回復の兆しが出ているのを見て取れる。関係する国の努力と国際社会の支援を通じて、とりわけ中国は今回の危機の中で人民元を切り下げないと約束したが、各国ができるだけ早く困難を克服し、経済成長を速め、確かな軌道に乗ると固く信じる。

 グローバルな大競争の時代にあって、ただ一つの活路は歴史の潮流に順応し、産業の整理・統合と産業構造の高度化をしっかり把握し、経営効率を高め、工業経済から知的経済への急速な転換という巨大な挑戦を迎えることだ。

 金融危機のあらしの衝撃を受けて、バンコクからソウル、ジャカルタから東京まで、企業経営者は皆、その経営戦略や組織構造、生産プロセスに関して新たな考えを重視するようになってきている。

 各種の試みをして、いかに競争力を増強し、経営効率を高め、純資産と利益のレベルを西側の水準まで高めるか、詳細に研究している。予想されるのはアジアで将来成功する企業は規模、形式において我々が以前に見たものとは違うということだ。

 中国にはすでに長虹に代表される優れた国有企業が大量に現れており、国有企業改革を探求するうえで有益な実践となった。国際的、国内的な新たな市場の競争環境に直面しても、計画経済の下での習慣や思考的な束縛から脱却し、優位性を十分発揮し、市場競争に積極的に参加して製品や資産、組織構造、技術、人員などの要素の調整と再編を加速することさえできれば、国有企業は十分うまく運営できる。

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