デービッド・オリバー・エイベル氏
(ミャンマー国家平和発展評議会議長担当相)
世界平和の維持へ協力

 東アジアや東南アジア地域は「経済成長と安定のエンジン」と言われてきた。だが現在、経済危機によって同地域の成長に疑問が出ている。そこで「アジアとミャンマーの過去・現在・未来」について考えたい。

 過去――アジア各国は15世紀の終わりから西側諸国に植民地化された。主に経済的な理由からスペイン、ポルトガル、フランス、オランダ、英国の植民地となった。ミャンマーもこの間、労働力を含めたあらゆる資源を搾取されたが、独立と経済発展への熱望がナショナリズムを高めた。

 現在――世界経済は深刻な通貨・金融危機に直面している。ミャンマーへの影響も大きい。東南アジアからの直接投資は全体の約50%、貿易では46%を占める。96年度の海外からの直接投資は総額で16億6310万米ドルに達した。97年度の直接投資は7億7119万ドルと前年に比べ53.6%下落した。

 アジアの通貨・金融情勢はまだ安定しておらず、注視していく必要があろう。アジア各国の対応は2,3年で効果が表れ、新しい時代に入るというのが一般的な見方だろう。

 未来――これは我々が作り出す。世界は戦争、経済不況など多くの困難に直面しているが、乗り越えられるはずだ。ミャンマーはすべての国家とともに、強者による弱者の搾取防止や、世界平和を危険に陥れるような行為の制限などに協力する。

 20世紀に我々は科学や医学などの分野ですばらしい成果を生みだしたが、依然として地球温暖化、オゾン層破壊、エルニーニョ現象、通貨の不安定などに脅かされている。21世紀に向けて多くの課題を抱えており、解決への責任を我々は負っている。

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