グエン・コン・タン氏(ベトナム副首相)
開発モデル見直し

 過去30年間にASEAN諸国はすばらしい経済発展を達成し、成功した地域連帯と評価される協力体制を築くことができた。長い間、東南アジア諸国は立地条件、天然資源、人的資源の比較優位性を世界の資本、技術、経営ノウハウと結び付け、輸出志向型の経済構造を築き上げた。

 しかし、最近の通貨・金融危機のあらしで東南アジア諸国は大変大きな試練に直面している。その試練とは経済の開発モデルと開発全過程の見直し、21世紀における持続的な発展の基礎作りに必要な調整をすることである。

 今回の危機は経済発展の成果や東アジアの発展モデルを否定したのではない。むしろ科学・技術の革新と経済の自由化・国際化がもたらした世界経済の急激な変ぼうに対して、地域諸国の経済の構造調整が不十分なことを示したものと思う。

 しかし、今回の困難は一時的なものにすぎないと思う。東南アジア諸国には長期的かつ持続的な発展の有利な機会と基本条件がまだ残っている。ベトナムは重大な機会と試練と共に98年を迎えた。10年以上実施してきたドイモイ(刷新)の成果がベトナム国民の自信を深め、工業化への移行を可能にした。

 ベトナムは地域の通貨・金融危機の台風の目ではないものの、経済はすでにそのマイナスの影響を受けている。それはベトナムの通貨の為替レートに対する強い下げ圧力、輸出の減速、海外からの直接投資の減少などに表れている。

 我々は12月にハノイで開くASEAN首脳会議を成功させようと全力を挙げている。また、日本との関係を重視しており、資金と高度な技術支援を必要としている。日本にはベトナムの農産物と食糧の輸出がしやすくなるよう規制緩和を望みたい。

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