マハティール氏(マレーシア首相) | |
巨大資本に警戒感 健全な競争へ基盤必要
発展途上国は規制緩和とグローバリゼーションが国民にとっても良いと教えられ、一方で産業化に成功した国の指導者の失政や腐敗が白日のもとにさらされた。世界のマスコミによる宣伝で、国民は政府に立ち向かった。彼らは政府を倒すよう声を合わせるだけでなく、外国による開発のために国を開くよう求めた。 明らかに、わずかな巨大企業だけで世界を支配することは可能だ。それに備えるかのように、大企業や大銀行は吸収・合併でより巨大化しつつある。 通貨トレーダーはどんな国の通貨でも意のままに下落させることができると言われる。ヘッジファンドや銀行の資金は合計で約30兆ドルに上るという。 東南アジアの通貨下落は腐敗した縁故資本主義が原因とされるが、たとえそうであれ、通貨が下落すれば債務返済はより困難となる。こうした国では経営能力不足を自覚し、外国企業を進んで受け入れるだろう。結果的に、規制緩和は世界中に支店を持つ巨大な企業や銀行の出現をもたらすだろう。 アジアにとって未来は「あまりない」というのが現状だ。経済は巨大な外国企業に支配され、東南アジアはその低価格製品を供給する拠点となろう。人々は再び支配者となる外国勢に憤り、自分たちの経済を取り戻すことを解放と考える新たな闘争を試みるだろう。もっとも「アジアの未来」がこうならず、アジアと欧米の健全な競争が戻ってくる可能性はある。しかし、欧米諸国が資本家の世界支配を押さえ込んだ場合にだけ、アジアは平和に繁栄できるのだ。
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