小渕恵三氏(外相)
核不拡散へ会議 経済改革へ支援惜しまず

 インドとパキスタンの核実験は、世界のほとんどの国が支持している核不拡散体制への重大な挑戦であり、あらゆる機会を通じ、印パ両国に無条件で核拡散防止条約(NPT)および包括的核実験禁止条約(CTBT)を速やかに締結するよう粘り強く働き掛けていく決意だ。

 核不拡散の問題は英知を結集して対処すべき問題と考える。政府間討議と並行して、日本国際問題研究所および広島平和研究所等の協力を得て、世界の官民の有識者10人程度の参加を得た「核軍縮・不拡散に関する緊急行動会議」を早期に発足させ、わが国において三回程度の会議を開催し、核不拡散体制を堅持、強化するための具体的なあり方についての提言を今後1年のうちに得たい。

 核実験問題の根源には、南アジアの安全保障をどのように確立していくかという問題がある。カシミール問題を含む諸問題について印パ両国間の対話をどう促進していくか、国際社会として真剣に取り組む必要が生じたと考える。この点につき来週、ロンドンで開かれる主要8カ国外相会合で提起する考えだ。

 インドネシアにおける30年ぶりの政権交代で政治面と経済面での改革が車の両輪として早期に達成され、民生の安定と国民経済の回復が1日も早く実現されることを期待する。わが国はこのような改革努力に対し、引き続き支援を惜しまない方針だ。

 経済危機に見舞われた国々が取り組むべき改革には、相当の痛みが伴う。しかし、市場の信認、国際社会の信頼を回復するためには痛みを覚悟しつつ勇気を持って取り組まねばならない。

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