アマレート・シラウォン氏(タイ金融再建庁長官)
不良資産の処理推進、来年中にノンバンク清算

 タイが経済の回復に取り組む道筋は明らかだ。金融部門の改革による投資家の信頼回復、適正な金融財政政策を通じた経済基盤の強化、金融機関の不良資産の処理である。

 ノンバンク56社を閉鎖し、商業銀行4行とノンバンク7社を国有化した。今後は他の商銀とノンバンクの増資をどう進めるかが金融再生のカギを握る。商銀とノンバンクは期限内に増資計画をまとめ、中銀の承認を得る必要がある。

 金融機関に対する監督権限や規定も補強した。7月からすべての債権を五段階に分類、2000年6月までに国際基準に合った損失処理の規定を導入する。情報開示を強化して中銀の独立性も確保する。預金保険の新しい枠組みを年末までに導入し、中銀傘下の金融機関発展基金の役割を担わせる。

 金融部門の再編を促進するため、ノンバンク56社の簿価で総額約220億ドルの資産を売却する。競売は中古車を手始めに2月に着手した。資産総額の9割を占める不動産や融資、割引手形などは慎重に競売するが、99年中にノンバンクの清算を終えたい。

 目標は、市場が決める価格で市場に資産を戻すこと。投資家の信頼を回復するには、市場メカニズムを機能させるしかない。

 法制度の見直しを伴う企業改革も進める。新破産法を強化し、企業の再編や債務処理の方法を広げる。これらの改革でタイの金融、経済の様相は大きく変わる。生き残った銀行やノンバンクはより強力な金融機関として再生するだろう。

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