金竜煥氏(韓国自由民主連合副総裁)
中銀間で協議機関 独自の格付け基準必要

 韓国の通貨・金融危機の原因は(1)国際的な短期資金の急速な動きに適切な対応ができなかった(2)格付け会社による格下げの影響を軽く見ていた(3)韓国経済が透明性を欠いていた――の三点だ。

 韓国の経験から考えて、危機に対する早期警報、あるいは救済の面でIMFが決定的な役割を果たせるとは思えない。だからアジアにはこの地域の各通貨の安定と、急速な資金移動の緩衝材の役割を果たす独自の機構が必要だ。各国がマクロ政策を話し合うほか、中央銀行同士で協議機関を設置し、緊急時に資金を融通し合うことから始めたらどうか。

 アジア独自の格付けの評価基準を作ることも必要だ。欧米の格付け会社は経済指標を重視しがちで、教育水準や労働力の高さ、起業家精神など潜在的な能力を十分に考慮しない。格下げが経済危機の克服を難しくすることも多い。

 アジアの実情に合った経済改革計画をつくることも必要だ。韓国はIMFとの合意を受け積極的に経済改革に取り組んでいるが、IMFの条件が厳しすぎてかえって経済を混乱させるとの指摘も一部にある。

 今、我々は日本が経済的なリーダーシップを発揮するかどうか見守っている。アジアの経済危機を救えるのは日本だけだ。日本の最近の円安抑制努力を評価したい。日本は構造改革を通じて景気を回復させ、アジアからの輸入と対アジア直接投資を増やしてほしい。また、積極的な技術移転を通じてアジアの分業体制を構築するよう努力してほしい。

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