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《地域の波動を伝える「日経地域情報」383号から》


特集  全国各地で花開く海洋深層水事業

主要取水施設は10市町村に、関連商品の市場は数千億円にも

 約15年前、日本で本格的な研究が始まった海洋深層水の利用事業が全国各地で進んでいる。実績を積み重ねている高知県、富山県を中心に、主要な取水施設のある市町村は10カ所に増え、計画中、検討中を含めれば20カ所以上に達する。海洋深層水の特性を生かした商品開発も花開き、関連商品市場は数千億円に膨らんだともいわれる。ただ特性や機能についての実証研究は遅れており、人類に与えられた新資源としてさらに活用していくためには確実な研究成果が待たれる。

室戸市沖深層水商品の年商は105億円

 1997年に初めて海洋深層水対策室を設けて自治体としてはいち早く海洋深層水利用による地域振興を考えてきた高知県は、審査委員会を設けて室戸市沖の海洋深層水を事業用に使う企業を審査、合格した企業には独自のブランドマークを使うことを認めている。2001年9月末現在で、清涼飲料水、食品、化粧品などを中心に109社が利用を認められており、2000年の実績でこれら室戸市沖の海洋深層水を使った商品の売上高は前年比2.7倍の105億円と、100億円を突破した。高知県では給水認可に当たり、企業誘致や雇用創出に役立てようと県内に本社か工場があることを条件にしており、県外企業が海洋深層水を利用するために工場を設ける例も目立っている。

高知県に追随する富山県

 「高知県に追いつき、追い越して名実ともに海洋深層水利用の最先進県に躍り出よう」としているのが富山県だ。富山湾は日本海固有水と呼ばれる深層水を含む海域が海岸近くに迫る、海洋深層水の取水適地として知られ、県は水産庁の補助を受けて95年、総事業費10億5600万円で滑川市にある水産試験場の中に日量3000tの取水施設を設置した。これまでに海洋深層水を利用して、富山湾で資源減少が深刻なサクラマスやトヤマエビの栽培漁業の技術開発に成功した。県では2000年6月から、海洋深層水を利用した新産業の育成を狙って、取水量の1割に当たる日量300tを非水産利用の事業用として民間企業に分水を始めた。1t1000円で給水しており、昨年12月10日現在で県が承認した分水企業は55社で、ミネラル飲料水、食品、化粧品などを中心に158商品が開発、販売されている。

沖縄県には日本最大の取水施設

 高知県、富山県に次いで海洋深層水の本格的な利用が早かったのは沖縄県だ。古くから海の恩恵を受けて生活を営んできた沖縄県ではいち早く海洋深層水に注目、旧科学技術庁と県の支援を受けて民間企業による県海洋深層水開発協同組合(事務所・浦添市)が95年には洋上型の簡易取水施設「海ヤカラ1号」を、県を中心とする研究所が99年にやはり洋上型の「海ヤカラ2000」をそれぞれ糸満市沖に設置、研究を進めていた。その成果を引き継いで旧科学技術庁の補助を受けて県が総事業費約59億円をかけて2000年6月に久米島仲里村に水深612mから日量1万3000tと、日本最大となる取水施設を持つ海洋深層水研究所を建設した。水産業と農業利用が中心で、沖縄県は全国1のクルマエビ生産量を誇るが、2001年10月には世界で初めてとなる、150万匹というクルマエビの母エビの大量養殖に成功した。

品質の統一基準づくりへ

 静岡県でも海洋深層水利用に県内の自治体が盛り上がっており、焼津市や清水市、伊東市、大井川町などに官民の研究会が相次いで発足。県も「水産利用以外は民間企業に進めてもらうが、水産試験場など研究機関の研究成果は提供していく。県内に新しい産業として深層水産業が生まれれば」(水産振興室)と後押しする構え。北海道では2000年1月から取水を始めた羅臼町を皮切りに各地で海洋深層水による地域活性化の動きが活発になっている。道南の熊石町や岩内町で2003年度までに大型取水施設の設置が実現する見通し。これらの町や小樽、根室の2市など14市町からなる北海道海洋深層水利活用自治体等連絡会が2001年6月発足に発足した。
 海洋深層水事業に実績を上げている各県では、深層水の全国的なブランド確立に連携を深めようと、高知県の音頭で富山、静岡、沖縄を含めた4県で2001年4月、「海洋深層水産業利用全国自治体協議会」を立ち上げた。海洋科学技術センターや資源エネルギー庁、水産庁などもオブザーバーで加わり、品質の統一基準作りや共同研究を進めている。


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