小渕外相、核で緊急会議提唱・「年内に提言得たい」
基調講演する小渕外相
 アジア太平洋の12カ国・地域の政財界リーダーがアジアの将来を討議する国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)が4日午前、都内のホテルで開幕した。冒頭の基調講演で小渕恵三外相は、核不拡散に向け政府間協議と平行して世界の有識者約10人による「核軍縮緊急行動会議」を日本で開き、1年以内に提言を得たいとの考えを表明。12日の主要8カ国(G8)外相会議ではインド・パキスタンの対話を働きかける方針を示した。東南アジア諸国の閣僚からは「通貨・金融危機の影響で海外からの投資が急減している」として、先進諸国や国際金融機関に柔軟な対応を求める声があがった。

 外相は一連の核実験問題に関し「南アジアの安全保障の確立への対処がカギだ。両当事者が核実験を行ったという新たな事態に照らし、カシミール問題を含む印パ間の対話促進について国際社会として真剣に取り組む必要が生じた」と述べ、12日に英国で開く主要8カ国(G8)緊急外相会議では印パ両国の対話拡大の必要性を訴えていく考えを示した。印パ両国に対しても「無条件で核拡散防止条約(NPT)および包括的核実験禁止条約(CTBT)を速やかに締結するよう粘り強く働き掛けていく決意だ」と語った。

 一方、アジアの通貨・金融危機への対応では「経済危機に見舞われた国々が取り組む改革は相当の痛みが伴うが、国際社会の信頼を回復するには痛みを覚悟して取り組まねばならない」と強調した。

 政情不安が続いたインドネシア情勢に関しては「政治面と経済面での改革が車の両輪として早期に達成され、民生の安定と国民経済の回復が1日も早く実現されることを期待する」と述べ、ハビビ新政権に対して一層の改革努力を求める考えを示した。

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