紙のメディアだからこその価値を感じて。
印刷工場の立ち上げから
管理までを技術で支える。

新聞製作技術
新聞製作技術

日経東京製作センター出向 兼
日本経済新聞社 東京・製作局技術部
2008年入社
自然科学研究科修了
※所属部局は取材時点のものです

CAREER STEP

2008年

入社 製作局技術部

印刷、製版、発送、建屋と一通りの仕事を覚えることに専念。

2009年

日経東京製作センター出向

現場を深く知るため、印刷部と輸送管理部でオペレーターとして機器を操作。

2011年

製作局技術部

技術部に戻り、発送設備と建屋の担当として工場の安定稼働に取り組む。

2015年

総務局総務・管財部

建物知識を生かして建物管理に取り組む他、テナント対応や予算管理など膨大な仕事量をこなす。

2017年

製作局技術部 兼 日経東京製作センター

再び技術部に戻る。発送設備、建屋に加え、紙面管理・伝送システムも新たに担当している。

なぜ就職先に日経を選んだのですか。

新聞社の技術職というのは世間にあまり知られていないニッチな職種です。当時の私は明確にやりたいことがあったわけではなく、漫然と社会の役に立つ仕事がしたいと考えていただけでした。この職種を知ったのは、私が全国でも珍しい印刷技術を学べる学科の出身で、OBに同じ職種の人がたくさんいたからでした。

技術職にはIT部門と製作部門があります。私は紙の新聞を作る製作部門を希望しました。それは物質として存在する紙というメディアに価値を感じていたからです。私には子供が2人いて、生まれた日の新聞を保管しています。子供が20歳になってこの新聞を見せる時、新聞は黄ばんで色褪せていることでしょう。画質という面では古い新聞より新しい新聞の方が良いに決まっています。しかしその風化からこれまで歩んできた歳月を連想し、心を揺さぶられることでしょう。

新聞の真価が情報の価値にあることは当然として、物質として存在することはその情報に付加価値を与えるものであると信じています。

現在の仕事内容を教えてください。

私たちは新聞印刷工場に関わる機械とシステム全般の導入、更新修繕計画の立案実行、トラブル対応などを行う技術集団です。私の担当は主に梱包発送設備で、印刷された新聞の梱包から販売店へ輸送するまでの設備を担当しています。工場内は一見機械だらけですが、特に発送工程は自動化が進んでいます。その裏には制御とシステムで構成されるロジックの世界が広がっています。

基本的にデスク仕事が多いのですが、日経には11の自社工場があり、工事やトラブル対応で外出することもしばしばです。紙面の構成を地域ごとに組み立て、画像データを工場に送信する「紙面管理・紙面伝送」というシステムも担当しています。こちらは印刷委託先も含む全世界の工場が守備範囲です。

2019年の大阪新工場建設では、建築計画の段階から携わり設計やレイアウトを検討し、設置工事から本番稼働まで問題がないよう旗振り役を務めました。苦労が多かったのですが、日々ダイナミックに変わっていく工事現場を見られたことは貴重な経験でした。

この仕事ならではの難しさと
面白さを教えてください。

「何も起こさない」のが私たちの仕事です。工場が安定稼働するよう更新修繕計画を立案し、日々トラブル対処や改善に取り組んでいます。アヒルが水面下で足をバタバタさせているようなもので、目立ちはしませんが毎日の新聞発行を支えています。

大変責任とやりがいのある仕事ですが、反面「何も起こさない」ことを継続するのは手応えを感じにくいことでもあります。設備を更新してお終いではなく、そこをスタート地点として安定稼働を支え続けなければなりません。私がやりがいを感じるのは、大きな案件をやり終えたときよりも、自分の小さなアイディアで現場の仕事が改善され「ありがとう」と声を掛けてもらったときだったりします。

私たちに求めれているのは技術力だけではありません。私たちと現場とメーカーとは常に同じ意見ではなく、間に立ち最善の方向に導く調整力が必要です。私は現場もメーカーもパートナーであるという意識で臨んでいます。また時には自分が正しいと思うことを押し通す意志とやり切る意地が必要です。合言葉は意地と人情です。

今後のビジョンを教えてください。

新聞の安定発行が至上命題であることは今後も変わりません。しかし近頃は新聞発行部数が減ってきている中で「何も起こさない」だけではなく「何かを起こそう」という機運が高まっています。新聞は紙とインクで出来ており、モノとしての価値は微々たるものです。しかし日本経済新聞に掲載されている情報は無形資産であり、大きな価値を持っています。部数が減ったとしてもこの無形の価値を生み出すコストはなかなか減らせません。

印刷工場もコストを減らすだけでなく、収益を生む仕組みづくりを進めています。新聞各社は特ダネや読者獲得を巡って切磋琢磨していますが、新聞の製造および輸送においては協力関係にあります。以前から印刷の委託や受託、災害時のバックアップ体制構築など協力を深めてきました。こういったことをもっと大きな枠組みで進めていく必要があると考えています。またこの路線とはまったく別の新しいビジネスを生み出す創造性も求められます。変革の時代を、責任を感じつつ楽しみながら進んでいきたいと思います。