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許 文 龍(シー・ウンロン)氏
奇美實業董事長(台湾)
 ABS樹脂で世界一の企業に

 第2次世界大戦後、故郷の台湾・台南で、がん具・日用雑貨の製造を始め、1959年に現在董事長を務める奇美実業を設立。同社を家電や自動車部品の原料であるABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂で世界最大のメーカーに育て上げた。

 今年、日本の富士通と技術提携してパソコンの基幹部品であるTFT型LCD(液晶表示装置)への参入を決定。5年後に液晶装置を事業の第2の柱へ育てる計画だ。

 家族主義の色彩の強い華人企業の中で、早くから所有と経営を分離する一方、台湾では珍しかった週休2日制を12年も前から実施、本人も週2日しか出社しないという合理主義者だ。セールスマンを全廃したり現金決済を重視するなど、経営手法は極めてユニーク。原材料市況の低迷の中で昨年も黒字を計上した。

 台湾優先を掲げる李登輝総統とも親しく、96年から総統府国策顧問を務める。最近「政府の大幅リストラ」を主張、注目を集めた。71歳。

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