title bar here

王雪冰(ワン・シュエピン)氏
中国銀行董事長兼行長(中国)
 人民元の基盤強固

 経済のグローバル化と中国の市場経済化が進む中で、我々は体制の改革、経済発展、社会の安定の3つの関係をうまく処理しなければならず、金融の安定を保証することが極めて重要と認識するようになった。

 とりわけ一部の国・地域で金融危機が発生して以降、我が国では金融の監督・管理を強化し、金融体制を改革する措置を取り、安定を確保した。(金融機関も)新しい競争、圧力に直面するとの分析があるが、金融体制改革のペースは変わらない。体制改革を今後も継続、深化する。

 中国の金融問題の焦点の1つは人民元レート。相場に影響を与える要因を分析してみると、人民元レートの(切り下げを回避し)安定を今後も保つ強固な経済的基礎が存在している。

 まず、着実で力強い成長が相場安定の基本的な保証だ。中国の1−3月期の国内総生産(GDP)の前年同期比伸び率は8.3%だった。良好な国際収支も重要な要素だ。外貨準備高は1466億ドルあり、1年余りの輸入代金を支払える。対外債務の指標は国際的警戒ラインよりはるかに低い。政府は輸出商品の税の還付率を上げるなど輸出拡大策も取っている。

 我々は、相場の安定がアジア地域の経済の安定に有利であり、中国、アジアひいては世界の共通の利益に合致すると信じる。

 経済のグローバル化は「もろ刃の剣」であり、チャンスとリスクが併存する。この動きは国際的な資本移動や金融自由化、金融市場の一体化を促すと同時に、市場の変化の複雑さや無秩序性、監督・管理の難しさが増した。

 このため、金融の安定に有利な国際的システムを築き、監督・管理で国際協力を強化することが日増しに重要で差し迫ったものになっている。

 先進国は発展途上国が金融の監督・管理を強化し、金融システムを整備して運営能力を高めるよう促すことに力を注ぐべきだ。途上国がしゃにむに金融自由化を進めるように迫り、そこで自国のシェアを拡大することだけに目を向けるべきではない。

 先進国は経済的地位に相当する責任と義務を当然負わなければならず、国際資本の過度の投機と市場の激しい変動を防ぐ面でより大きな役割を発揮し、世界経済の共同の繁栄、安定を促進しなければならない。

Copyright 1999 Nihon Keizai Shimbun, Inc., all rights reserved.