Case Study 導入企業の実例紹介

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リモートからハイブリッドへ
定着のポイント
日本マイクロソフト
岡寛美さんに聞く

コロナ禍を背景に多くの企業・団体がリモートワークを取り入れました。ただ、「活用しきれていない」「本当の意味で定着していない」といった声もあります。定着には何が必要か。そしてリモートワークを通じて何が変わり、何が実現できるのか。リモートワーク推進の先進企業である日本マイクロソフト モダンワーク&セキュリティビジネス本部 モダンワークビジネス部 部長の岡 寛美さんにお聞きしました。

◎リモートワーク定着まで

私は2007年にマイクロソフトに入社しました。2010年時点では新宿オフィスにおり、机は固定で紙も多く使う働き方をしていました。リモートワークをするテクノロジーはありましたが朝から終電くらいまで会社にいることもありました。11年2月に品川に移転。これをきっかけに環境がドラスティックに変わりました。

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そのころ会社は労働生産性、コスト・効率、風土・文化面それぞれに課題を抱えていました。みんなが集まって合意形成がされないと進まない文化が残り、意思決定の迅速さが求められていました。コスト面では東京に5拠点あり移動等に要する経費が膨らんでいました。オフィスの昼間の空席率は60%でスペースを無駄遣い。風土・文化面ではワークライフバランスに課題があり、各種施策を進めてもなかなか解決しない。私も11年前は一番上の子を出産して職場に戻ったところでしたが、帰りづらい、両立が難しい、という状況がありました。

オフィス移転後、東日本大震災が発生しすぐにリモートワークになりました。移行はうまくいき我々の成功体験になりました。ただ交通機関が復旧すると揺り戻しが大きく、会社がリモートワークOKに切り替えたにもかかわらず、みんなオフィスに戻ってきます。そこでテレワークの日というのを設けたり、2014年にはテレワーク週間を設けたりしました。さまざまな取り組みをやってきましたが、大切な要素は3つあると思います。「ビジョン・企業文化」「制度・ポリシー」と「ICTを活用して距離を縮める」ことです。

「いつでも」「どこでも」「誰とでも」を企業文化として掲げています。変化の激しいIT業界で生き残るため、その人にあった柔軟な働き方を通じイノベーションを起こしやすくします。

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制度・ポリシーでは何年も試行錯誤をしてきました。2010年にリモートワークを始めたときは上長の承認が必要。ハンコを押し人事に提出する必要がありました。でも突然子供が風邪をひいてしまうと、ハンコをもらって人事に提出というわけにはいきません。何度かの変更を経て、2016年5月にリモートワーク勤務に関する制約がなくなりました。場所も日本国内であればどこでもよく申請も承認も不要です。

このころは子供を保育園に迎えにいくとき、みんなが仕事をしているのに自分だけ仕事を抜けることに、心理的な負担が大きかったです。「固定した勤務時間だと、17時より早く帰る人に後ろめたい気持ちがある、その雰囲気を変えられないか」という声が社内で高まりました。そして、保育園を作るより風土改革とかカルチャーづくりが大事だとなり、テレワーク勤務制度導入につながった面もあります。

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人事評価も大きく変わりました。3つの軸は個人の業績、他者の成功への貢献、他者の知見をどう自分が活用できたかというもの。他者とコミュニケーションせず自分一人でやるという一匹オオカミ的なやり方は高い評価が得られなくなっています。

◎ビジネスモデルの変化も背景

このころはビジネスモデル自体が大きく変化。クラウドでは競合が多く、いままでの固定概念では激しい競争下で生き残っていけないという危機感がありました。まさにビジネス環境の激変と並行して起きた変革です。ライセンスの売り切り型のビジネスモデルからクラウド・サブスク型に転換すると、利用者は始めるのも簡単ですがやめるのも簡単です。課題を聞いたり、やりとりしたり、きめ細かな日々の顧客フォローが必要となり、ほかのスタッフと共同で取り組まないとビジネスが成り立ちません。

以前は一匹狼の人が、入念に作りこんだ資料を自分だけのノウハウとして抱え込んでいましたが、今はほとんどありません。従来は見られなかったような秘密の武器・ノウハウに、いつでもどこでもアクセスできるようになり、自ら進んで共有する文化が育まれました。自分が新しく考えたアイデアや提案をいち早く共有、仲間で意見を出し、よりよいものにしてお客様に提案する――。この5年間で大きく変わりました。

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◎変化は数字に

リモートワーク導入後は、クラウドでビジネスモデルが変化したこともあり、事業規模は拡大しました。従業員数は減り、業務時間も短くなりました。私自身も以前は終電まで働いたこともありましたが、総労働時間は1割くらい減った感覚があります。また、紙の印刷は本当になくなりました。2011年に品川オフィスに引っ越したときに、フリーアドレス化に伴って従業員一人あたりコインロッカー1つ分くらいしか物を保管できないようになり、ある意味追い込まれる形で印刷が劇的に減りました。また、紙で印刷すると情報が古くなりがちです。クラウドにある最新のデータを見に行って、それをパソコンで表示したほうが、最新データをもとにミーティングできますし効率もいいです。

コロナ禍でテレワークがさらに加速し、2020年3月にすでに出社が16.4%でしたが、緊急事態宣言の出た204月以降0.5%~数%まで減っています。

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テレワーク化で出社はなくなりましたが、Microsoft Teamsのチャットなどを使った社員同士のコミュニケーションが増え、お客様との時間も増加する結果が出ています。雑談ベースの会話が会議になり、30分以下の会議がとくに増えました。マイクロソフトの社員が社外のお客様にかける時間は2.74倍と急増しています。移動時間がいらないので、いろいろなお客様とお話ができます。一日8時間、お客さんと会議ができるし、30分ごとに違ったお客さんとお話しできる。営業活動に時間を割けるようになったことは成果として重要視しています。

会議参加者も増え、Teams会議も多くなりました。限られた人と密に仕事をするようになるかと思いきや、デジタルな形で社内の人間関係がどんどん広がりました。

◎リモートワークの過ごし方とメンバーのフォロー

私はマネージャーで、チームの社員も複数います。みんなと顔を合わせたいとは思うけれど、私自身はリモートワークが辛いとかしんどいというのはそんなにないです。

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ただ、ライフスタイル別で調べると困っている社員がいることがわかりました。ミレニアル世代、ワーキングマザーといったライフスタイルごとに困難な局面に直面している社員がいます。独身の社員、新入社員、インターンシップの学生の方も私のチームにいます。

苦労しているメンバーをどう支援できるかに試行錯誤しています。いままでやってきたことは大きく分けて3つ。ひとつ目は自分のチームのメンバーの相互理解を深めるということ。コロナ禍でも異動している人が多く、まだ直接会ったことがない人もいます。個別の1on1をしたり、週3回、誰でも入ってお互いに何でも聞いたり確認できる談話室のようなものをつくったり、バーチャルですがオフィスで相談しているような環境を実現しようとしています。

毎週定例ミーティングを持ち、全メンバーが、今週やらなければいけない課題を共有。グループワークのような形で、相互理解を深める取り組みも行いました。仕事のルールはチームで協議し、コアタイムは9時から17時。ミーティングは30分ではなく25分。ちょっとリラックスする時間を設けています。

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弊社にはMicrosoft Vivaというソリューションがあります。「今の状況はどんなですか」とか、「休息をとりませんか」とか、「この仕事を忘れていませんか」と、自分が考えていなかったことをテクノロジーでアシストする。それによって一息つけたりWellbeingが確保できたりします。

◎ICTの活用

マイクロソフトはMicrosoft 365のように、いつでもどこでも安全で高い生産性を実現できるクラウドソリューションを提供しています。Microsoft Vivaでは自分のチームと自分自身がどういう形で仕事をしているのか可視化できます。自分がどのくらいの時間を何に費やしているのかわかりますし、過去4週間、どのくらいのメールを見たり、チャットをしているのか傾向がわかります。マネージャーの開催した会議にメンバーが費やした時間等がわかるツールもあり、振り返って業務改善につなげることができます。

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リモートワーク定着に向けてはITツールの浸透と業務効率を上げる人事制度、そして企業文化がカギだと思います。またコロナ禍後を見据え、どういう会社でありたいのかというビジョンを掲げ、達成するための道筋を作るのが大事です。今はみんながリモートワークをしていても、会社のオフィスに人が戻るタイミングで(在宅と出社を併用する)ハイブリッドワークが当たり前というビジョンが描けるでしょうか。デジタルの力で、企業の皆様の有限な時間をより有効に使えるようにしたい。リモートワークで日本の皆様の生産性を上げていただきたいと思います。

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