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6月27日の記事

選挙戦、W杯あやかり若者票狙う
釜本議員引っ張りだこ
票を競う(1) 自民複数区で攻勢
投票箱全部そろわなくても開票・都選管



選挙戦、W杯あやかり若者票狙う

 列島が熱狂するサッカーのワールドカップ(W杯)あやかろうと、参院選の候補者が選挙運動にサッカーを取り入れている。運動員がユニホーム姿でビラを配り、シュートのパフォーマンスで盛り上がる。演説で日本代表チームの話題を織り込む候補も。W杯人気に便乗した運動の効果は定かではないが、各陣営は「サッカーファンの多い若者が選挙に関心を持って投票に行ってほしい」と期待を寄せている。

 緑地に赤と黄色のライン、白のパンツにグリーンのソックス。25日の公示日、東京・渋谷駅南口にサッカーのユニホームを着た11人が並び、「〇〇候補をお願いします」と声をそろえた。学生ボランティアでつくる自称「イレブン隊」。胸と背中に政党のマークと名前が光る。

 東京選挙区に立候補した野党新人陣営の選挙活動はサッカー一色。「健康で明るくさわやかというイメージを印象づけたい」(選対幹部)との戦略で、ウグイス嬢もユニホーム姿だ。メンバーの女子学生(21)は「ユニホームを着ると元気が出る。ビラの配布も積極的になった」とか。

 愛知選挙区の野党陣営は名古屋市内の公園で行った出陣式で、サッカーW杯大会に合わせたパフォーマンス。候補者のあいさつが終わると、小型のゴールと与党党首の顔が描かれた“人形”がキーパーの位置に用意され、笛や太鼓が鳴るなか、比例代表と選挙区の候補が順にシュート。司会の「ゴォール!」の声が公園内に響いた。

 運動員がサッカーのユニホーム姿でビラ配る神奈川選挙区の新人候補は演説でサッカーの話を度々引用する。公示日には「いよいよ“公式戦”が始まりました」と切り出し、「岡田監督は連敗の責任を取って辞意を表明した。プロの政治家も結果責任が問われなければならない」と訴えた。

 同陣営の選対幹部は「サッカー好きの若者が何をやっているのだろうか、と立ち止まってくれるだけでも十分」と“サッカー効果”に期待する。ビラを受け取った会社員(28)は「ユニホーム姿は選挙らしくないが、新鮮でいい」と評価する。


釜本議員引っ張りだこ

 68年メキシコ五輪の銅メダリストでJリーグガンバ大阪の元監督、釜本邦茂参院議員に応援要請が相次いでいる。今回の選挙は非改選だが、「選挙期間中の予定はびっしり埋まっている」(同議員事務所)状態で、自民党選挙対策本部は日程調整に四苦八苦。

 釜本議員は25日の大阪を皮切りに、26日は滋賀、三重、奈良の3県を遊説した。南は宮崎県から北は宮城県まで1日平均2県、7月2日までだけで18県を駆け巡るスピード応援になる。

 比例代表候補で出馬した前回の参院選は子供向けのサッカー教室などでアピールしたが、今回はW杯にあやかったパフォーマンスは一切しない。街頭宣伝車からの応援や講演会の演説など地味な応援活動に徹しているが、各地の候補にとって「元サッカー選手」の肩書は魅力的。

 釜本議員は「サッカー人気と選挙は別もの。応援に忙しくて観戦のヒマがないのは残念」と話している。


票を競う(1) 自民複数区で攻勢

 新進党が旋風を巻き起こした前回参院選から3年――。その新進党も今はなく、代わって登場したのが民主党。与党側では自社さ連立が解消し、自民党単独政権が復活した。激しくうねる政治の潮流は、選挙戦の構図にどのような変化をもたらすのか。最前線の動きを追った。

  支持団体拘束に限界

 「応援の議員がまだ来てないんだが」――。公示日の25日朝、静岡市内で開いた自民党公認候補の木宮和彦氏(現職)の出陣式。静岡県選出の衆参両院の議員2人が、予定されていた応援演説の時刻になっても現れず、関係者が気をもむ一幕があった。

 2人は市内で同時に始まったもう1人の公認候補、山下善彦氏(新人)の出陣式を途中退席、車に飛び乗り木宮陣営に駆け付ける段取りだった。だが移動に手間取り、2人が滑り込んだのは出陣式の終了間際。この衆院議員は「片方の陣営だけ応援に行くともう片方から必ず苦情が来る。2人を平等に応援するんだから、自分の選挙より大変だ」と額の汗をぬぐった。

 定数二の静岡選挙区で自民党は2人を擁立、非改選議員2人と合わせて四議席独占を狙う。同党の静岡県連が二兎(にと)を追う戦術の切り札としたのが「票割り」だ。静岡市など五大市と東部を両陣営が進出する競合地区とし、残った中部、西部はそれぞれ木宮氏と山下氏に割り振る――。新人の山下氏にやや手厚く票を配分することで、両候補の得票数を近づける作戦だ。だが誤算はないのか。

 「割り当てられた地区以外で、露骨に応援活動するのは控えてほしい」。県連の幹部は最近、全県下で精力的に自民党の1人の候補の支援に乗り出していた宗教団体幹部にこう要請した。いくら厳密に票割りしても支持団体や企業までは拘束できない。県連幹部は「選挙戦がもっと過熱してくれば、支持団体などが票割りを無視してなりふり構わない活動をするのではないか」と心配する。

 県下の衆院議員も来春の統一地方選を前に「票割りで系列の県議や市議を締め付け過ぎて、後援会を無用に混乱させたくない」と慎重だ。

 独占阻止へ野党共闘

 一方、野党は民主を軸に公明、新党平和、社民各党が無所属で新人の海野徹氏を共闘候補に立て、自民党の独占阻止に挑む。25日に静岡市入りした民主党の鳩山由紀夫幹事長代理は街頭で「経済指標が軒並み悪化しているのは自民党政権に対する不安感の表れだ」と熱弁をふるった。

 だが、候補者擁立を巡って対立した民主党静岡と旧新進党グループなどとの溝は完全には埋め切れておらず、これまで連合静岡が前面に出て選挙戦を束ねてきた。連合静岡の石井水穂会長は「民主党が“党内党”にこだわって一枚岩になれないならば勝ち目はない」と追い込みに必死だ。

 「参院の過半数奪還」を至上命題として失地回復に乗り出した自民党は、静岡と同じく定数二以上の福島、茨城など13選挙区(岐阜の推薦1人を含む)で2人の候補者を擁立した。連立を組んでいた社会党に配慮し複数擁立を見送った前回と、様相は一変した。だが複数擁立にこぎ着けた場合でも、栃木は関係者間の意見調整がつかず票割りを断念した。

  候補者調整も難航

 候補者の調整も一筋縄ではいかない。

 「納税者のために政治を動かしたい」――。自民党宮城県連推薦の鎌田さゆり候補は25日夕、仙台市役所前でマリンブルーのジャケット、ジーンズにスニーカーといういでたちで声を張り上げた。

 昨年10月の県知事選で、無党派層に照準を合わせ、どの党からの推薦も受けなかった浅野史郎氏に敗れた自民党宮城県連は当初「定数二を超える3人を擁立する」という作戦で背水の陣を敷こうとした。市議出身の鎌田氏、元法相で五期目をめざす遠藤要氏、知事選にも出馬した元国土事務次官の市川一朗氏だ。33歳の鎌田氏は民主党が狙う無党派票切り崩しの決め手だった。

 ところが県連の方針に党本部は困惑。結局、野中広務幹事長代理ら選対幹部の出した結論は「遠藤氏は公認、市川、鎌田両氏は県連推薦」というものだった。県内の自民党の支持団体などからも「どの候補を応援すればいいのか」と戸惑いの声が出ている。

 参院での過半数奪還に向け、カギになる定数複数区での二議席獲得を目指す自民党。阻止を狙う民主党。どちらもまだシナリオを描き切ってはいない。


投票箱全部そろわなくても開票・都選管

 7月12日投票の参院選で東京都選挙管理委員会は26日までに、開票開始の目標としている午後9時までに一部投票箱が到着しなくても開票を始めることを認める方針を打ち出した。投票箱がすべてそろってから作業に入る慣例を破る“禁じ手”だが、都選管は「開票のスピードアップのためにはやむを得ない」と話している。

 都選管によると、従来の開票開始時間は投票締め切りの午後6時から2時間後の午後8時を目安にしていた。今回の参院選では公選法の改正で投票時間が2時間延長され午後8時までとなったうえ、自治省の要請を受ける形で即日開票を決めたため、開票までの時間を1時間短縮、開始時間を午後9時に設定した。

 それでも「八王子市など面積が大きく週末にぎわう観光地を抱える地域や、不慮の事故などが発生した場合は、投票箱が間に合わないケースもありうる」(都選管)として、5月下旬に各区市町村に配った「事務提要」で“フライング容認”の開票方式を示した。

 投票箱が一部届かない段階での開票は一部地区の投票内容が分かってしまう恐れもあるが、都選管はあらかじめ3カ所以上の投票箱を用意しておき、遅れた投票箱と混ぜ合わせる方法で「投票の秘密は守れる」としている。

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