東京展が閉幕――わずか数時間で撤収作業 (98.2.17) |
東京展最終日となった17日、「何とか最後に一目観たい」「もう一度鑑賞してまぶたに残しておきたい」という来場者で、会場は朝からにぎわいをみせた。閉会時刻の午後4時を過ぎても、来場者の列はなかなか途切れず、結局30分以上も延長することに――。この日は開場時間が短かったにもかかわらず、約5000人が訪れた。
百貨店で開かれる展覧会の場合、関係者にとって閉会後の数時間は戦場となる。次の催事準備が控えており、短時間で撤収を済ませなければならないからだ。
とはいえ、扱う品は人類の歴史にさん然と輝く文化遺産。事故は許されない。作業を安全かつ円滑に進めるために、担当者の振り分けや手順のシュミレーションなどを事前に綿密に打ち合わせ、搬出ルートも慎重にチェックされる。
作業開始。コートールド美術館のキュレーター(学芸員)や展覧会コンサベーター(作品点検・修復の専門家)が作品を再度点検したうえで、壁からはずされた作品は、ていねいに梱包され、輸送用の木箱に詰められていく。
作業が始まってまもなく、いったんは木箱に収めた作品のちょっとしたすき間をめぐって、関係者が真剣に議論する場面も。作品を改めて箱から取り出し、作品調書などを再確認して収め直す。妥協のない仕事の連続で、作品を扱う手や作業を注視する視線に休みはない。作業に携わるすべての人に集中力の持続が要求され、会場内には緊迫感がみなぎっている。
みるみるうちに壁に残る絵は減り、午後10時過ぎにはすべて木箱に収められてしまった。3台の美術品専用車に積み込まれた作品は、警備車に先導されて次の大阪会場(なんば高島屋、20日開幕)に向かった。時速90qの安全速度を守り、途中何回か休憩を入れながら進むトラックは、18日朝、大阪に到着する予定。午後からの搬入、陳列開始に備える。
一方、撤収の終わった会場では、仮設の壁面があっと言う間に取り壊され、次のイベント「東西名匠老舗の会」の造作工事が始まった。8週間にわたって美術ファンを堪能させた空間には、19日になれば着物や漆器が並んでいるはずだ。(写真は、撤収作業中にマネ《フォリー・ベルジェールのバー》の梱包方法をめぐって議論する関係者)
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