《フォリー・ベルジェールのバー》
エドゥアール・マネ
1881-2年
油彩・カンヴァス
96.0 × 130.0cm


 1882年のサロンに入選した《フォリー=ベルジェールのバー》は、マネの最後の大作である。パリで最も人気のあったカフェ・コンセールの内部を描いたものだが、完成作はフォリー・ベルジェールで働いていた女性バーテンダーをモデルにアトリエで制作された。

 主題には、近代都市社会が抱える諸々の不確かさが込められている。フォリー=ベルジェールは、パリ社交界の上流の人々や高級娼婦たち(ドゥミ=モンド)の娯楽場として人気があった。娼婦たちは、ロビーや通路で公然と客を取っていた。

 女性バーテンダーのおかれた立場もあいまいである。彼女たちはまず飲み物を出すためにそこにいるが、同時にまた、カウンター上の酒瓶のように、彼女たち自身も商品となりうるのである。マネの絵は、こうした不確かさを提起しているようだ。

 それは描写方法によっても強調されている。カウンターの酒瓶やフルーツボウルは鮮やかで緻密に描かれているのに対して、女性バーテンダーの姿は大ざっぱで簡潔だ。これは、何よりも彼女がカウンターの後ろにいることでわかるように、彼女の商品性を強調するもので、演じる役割のうちに彼女自身の立場のあいまいさを示している。

 1926年3月、サミュエル・コートールドが約22,600ポンドと手数料1,500ポンドで購入。1934年、コートールドにより寄贈。



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